抗ミトコンドリアM2抗体,AMA2(anti-mitochondrial M2 antibody) 

 
臨床的意義
 
抗ミトコンドリア抗体(anti-mitochondrial antibody ; AMA)は、原発性胆汁性肝硬変(primary biliary cirrhosis ; PBC)患者血清中に高率に検出される自己抗体である。当初、AMAは対応抗原の局在や化学的性質、出現する疾患の相違などから、M1からM9の9つの亜分画に分類されることが提唱され、このうちM2、M4、M8、M9と、PBCの病態や予後との関連性が注目された。しかし現在では、このうちのM2抗体以外ではPBCにおける特異性は疑問視されている。AMAのスクリーニング検査は、ラット腎切片を基質とした間接蛍光抗体(immunofluorescence ; IF)法であるが、我が国ではウシ心筋ミトコンドリア由来M2蛋白を抗原としたELISA法によるM2抗体も広く測定されている。PBCは、中年以降の女性に好発し、肝小葉内胆管の変性、破壊による慢性肝内胆汁うっ滞をきたす自己免疫性肝疾患である。肝組織学的には、門脈域の著明なリンパ球浸潤、肝小葉内胆管上皮の重層化、破壊、脱落などのいわゆる慢性非化膿性破壊性胆管炎(chronic destructive cholangitis ; CNSDC)が初期の特徴的病変として認められ、血清学的にはAMAが高率に検出される。しかし、あらゆる細胞内に存在するミトコンドリア内の関連酵素に対する抗体が、なぜ肝の臓器特異的自己免疫疾患であるPBCで高率に、特異的に検出されるかは、依然として不明である。

適応疾患: 
原発性肝汁性肝硬変・慢性活動性肝炎・薬剤惹起性肝炎

測定方法: ELISA法

測定機器: EVOLIS(日本バイオラッド(株)
BEPIII(平成17年12月28日まで)

機種変更相関、一致率: y=1.048x - 2.034 r=0.996 n=30、 100(平成17年12月28日)

測定試薬: MBL(平成14年4月1日より改良試薬に変更)
*改良試薬の特徴:PDC-E2,BCOADH-E2,OGDC-E2の3種抗原に対するIgG,IgA,IgM自己抗体を同時測定することにより感度、特異性の向上が図られる。

X=旧、Y=新
Y=0.93X+22.7  r=0.82  n=62

基準値: 7未満(Index値) 
(平成14年4月1日から)
          
6.7 U/ml 以下(陰性)(平成14年3月31日まで)

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管 

関連項目

抗マイクロゾーム抗体
抗リボゾーム抗体 
抗平滑筋抗体 
抗核抗体 

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