抗MDA5抗体, 

測定法:EIA法(平成29年6月16日より)

外注会社:LSI

臨床的意義
膚筋炎(dermatomyositis;DM)は自己免疫による代表的な炎症性皮膚疾患であり、ヘリオトロープ疹やゴットロン徴候を始めとした多彩な臨床症状を示すことで知られています。多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)としての患者数は国内に約2万人、男女比はおよそ1:3、中年以降での発症が多いとされています。皮膚症状のみで臨床的に6ヵ月以上筋症状が認められない皮膚筋炎患者を無筋症性DM(clinically amyopathic dermatomyositis;CADM)と呼び、DMに特徴的な皮疹を有してはいますが、筋力低下などの症状に乏しく、CKや筋電図等の検査所見にも異常を認めることが少ないとされています。近年、免疫沈降法によりCADM患者の血清中に分子量140kDaのバンドが認められたことから、この自己抗体は抗CADMー140抗体と呼称されました。その後、この抗体の対応抗原がmelanoma differentiationーassociated gene 5(MDA5)であることが判明し、抗MDA5抗体と命名されたため、抗CADMー140/MDA5抗体と呼ばれることがあります。DM患者と比較し、抗MDA5抗体陽性(CADM)患者は高率に急性間質性肺炎(AIP)を併発し、その中の多くは急速に呼吸困難が進行する急速進行性間質性肺炎(rapidly progressive ILD:RPーILD)とされています。RPーILDは数日から数週間で急速に呼吸不全が進行し、強力なステロイド剤や免疫抑制剤投与などに対しても治療抵抗性で予後不良とされています。RPーILD合併CADMの報告例は日本を含む東アジア地域に多く、欧米諸国においても近年同様の報告が認められています。抗MDA5抗体はCADMに特異的に認められる自己抗体で、他の自己免疫疾患ではほとんど検出されず、成人DMにおける出現頻度は10〜25%とされています。また、抗MDA5抗体陽性の患者におけるRPーILDの合併頻度は50〜70%であり、治療前の抗体価が予後に関連があることを示唆する発表や、抗体価の推移が経過観察に有用との報告もあり、今後の研究が待たれます。


基準値: 
陰性(-) インデックス値 32未満 
      

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管


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