抗Scl-70抗体(抗topoisomeraseI抗体), anti Scleroderma antibody
臨床的意義
抗トポイソメラーゼI(トポI)抗体は、強皮症患者に検出される沈降抗体として報告され、当初は抗Scl-1抗体、抗Og抗体と呼ばれた。1979年にDouvasらは、この抗体の対応抗原が分子量約70kDaの非ヒストン可溶性核蛋白であることを見いだし、抗Scl-70抗体と名付けた。1986年にはScl-70抗原は、核内の酵素であるトポIと同一分子であることが証明された。トポIは細菌、ウイルスからヒトに至るまでほとんどの生物に存在する生命維持に不可欠な酵素である。エネルギー非依存性に2本鎖DNAのねじれをほどく(弛緩させる)ことでDNAの高次構造の変換を触媒する。この活性を通じてDNA複製や修復、転写の過程で重要な役割を果たす。強皮症血清中の抗トポI抗体の多くは、トポIの活性部位に結合して酵素活性を阻害する。トポIは765個のアミノ酸から構成される単量体で、実際の分子量は約100kDaである。トポIはプロテアーゼ感受性が非常に高いため、Douvasらは精製過程で生成された主要な分解産物である70kDa蛋白を対応抗原としたのである。抗トポI抗体は、強皮症の診断の補助として有用である。また、臨床症状との関連から強皮症患者の臓器障害出現や、予後の予測に用いられる。ただし、抗体価の変動は通常、疾患活動性や重症度と相関しない。
適応疾患: 進行性全身性硬化症(PSS)・強皮症
測定方法: FEIA法
測定機器: ImmunoCAP 250(平成21年12月22日より)
EVOLIS(日本バイオラッド(株))(平成21年12月21日まで)
BEPIII(平成17年12月28日まで)
測定試薬: ユニキャップエリア(ファディア株式会社)(平成21年12月22日より)
MBL(平成13年4月2日より改良試薬に変更
〜平成21年12月21日まで)
機種変更相関、一致率: y=0.908x + 0.421 r=0.999 n=15、 100%(平成17年12月28日)
従来試薬と改良試薬の比較(平成28年12月1日)
従来試薬と改良試薬の一致率
従来法との一致率(平成21年12月22日)
(平成13年4月2日より改良試薬に変更)
抗Scl-70抗体 従来試薬 | ||||
+ | +- | - | ||
改良試薬 | + | 15 | 1 | 0 |
+- | 0 | 0 | 1 | |
- | 0 | 4 | 39 | |
n=60 一致率 90% |
基準値: <
7 :陰性、7〜10
:判定保留、>10
:陽性(平成21年12月22日より)
16.0 index 未満(陰性) 24.0 index 以上(陽性)(平成21年12月21日まで)
5.0 index 未満(陰性) 10.0 index 以上(陽性)(平成13年3月31日まで)
採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管
関連項目
抗セントロメア抗体
抗RNP抗体
CH50
IgG
IgA
IgM