インスリン様成長因子結合蛋白3型, IGFBP‐3(insulin-like growth factor binding protein-3)
試薬販売中止のため(平成24年3月30日まで)


測定法: RIA-2抗体法
          
 IRMA法(固相法)平成17年3月25日まで

外注会社:BML
(平成15年3月31日まで大塚)

臨床的意義
 インスリン様成長因子結合蛋白3型(IGFBP-3)は、インスリン様成長因子(IGF)に特異的に結合している蛋白の一種である。IGFには、GH依存性で骨成長促進作用が強くGH分泌動態を反映するIGF-1型と、GH依存性に乏しくインスリン様作用が強いIGF-2型が存在する。IGF-1のほうは、血中ではIGFBPと結合して安定な状態で存在する。このIGFBPの主なものがIGFBP-3である。したがって、血中のIGFBP-3は内因性のGH分泌動態を反映し、またGHより半減期が長く安定なことからGHの間接的な指標として用いられており、特にGH分泌不全症(下垂体性小人症)の診断に有用である。IGF-1は肝細胞で、IGFBP-3はクッパー細胞で主に産生されるとされ、またIGFBP-3値はIGF-1値と同様に加齢とともに増加するが、IGF-1値のピーク値より遅れることから両者には異なった調節機構が存在すると推定される。なお、IGFとIGFBP-3により形成されたcomplex(βサブユニット、acid-stable subunit)に、さらにαサブユニット(acid-labile subunit ; ALS)が結合して、140K complexと呼ばれる大きな複合体として血液中に存在している。IGFBP-3はIGF-1とともにGH分泌不全症(GH分泌不全性低身長症または下垂体性小人症)の診断のためのスクリーニング検査の指標として有用である。すなわち、低身長(身長が標準身長の−2SD以下または年間の成長速度が2年以上にわたって標準値の−1.5SD以下である)または症候性低血糖(低身長がなくてもGH分泌不全が原因と考えられる低血糖)がみられた患児についてGH分泌不全が疑われるとき、まずIGF-1、IGFBP-3を測定する。IGF-1、IGFBP-3とも基準範囲のときは、GH分泌不全性低身長症の可能性は少なく、思春期遅発症、家族性低身長、IUGR(intrauterine growth retardation)などを考慮に入れて診断を進める必要がある。なお、GH分泌不全症の診断としては、IGF-1もIGFBP-3も感度、特異性とも約90%と高いが、IGFBP-3のほうが低値領域における変動幅が大きいため低値を示す小児の判別には有用であると考えられる。

異常値を示す疾患
高値疾患: 先端巨大症、巨人症

低値疾患: 下垂体性小人症(GH分泌不全症)、肝硬変、甲状腺機能低下症

基準値(単位:μg/mL)
平成17年3月28日より 従来法との相関y=0.6759x−0.0716 r=0.9559 n=66

年齢(歳) 男子 女子
例数 基準値 例数 基準値
0歳  33 0.91〜2.12 16 0.83〜2.24
1〜2歳  20 1.02〜2.50 20 1.33〜2.19
3〜4歳 13 1.25〜2.56 15 1.41〜3.25
5〜6歳  9 1.50〜2.98 14 1.66〜2.91
7〜8歳  13 1.76〜3.62 16 1.90〜3.20
9〜10歳  18 1.99〜3.41 22 1.86〜4.70
11〜12歳 24 2.01〜4.31 15 2.30〜4.39
13〜14歳 19 2.69〜4.16 13 2.62〜4.96
15〜16歳  27 2.55〜4.59 38 2.47〜4.52
17〜19歳  20 2.62〜3.51 36 2.44〜5.20
20歳以上  15 1.90〜3.89 17 1.99〜3.19

平成17年3月25日まで(IRMA法)

年齢 男 子 女 子
例数 基準値 例数 基準値
0歳  45 0.98〜2.39 33 1.00〜2.84
1〜2歳  31 0.95〜3.58 24 1.45〜3.28
3〜4歳 32 1.40〜3.14 36 1.54〜3.39
5〜6歳  53 1.84〜3.24 59 1.84〜3.71
7〜8歳  21 1.75〜4.04 40 2.00〜4.16
9〜10歳  22 1.86〜4.20 35 2.05〜4.28
11〜12歳 38 2.10〜3.96 21 2.25〜4.25
13〜14歳 29 2.43〜3.84 28 2.54〜5.24
15〜16歳  16 2.51〜4.14 11 2.42〜4.24
17〜19歳  12 2.13〜4.63 8 2.58〜3.90
20〜29歳  109 2.28〜4.45 101 2.48〜4.74
30〜39歳 102 2.33〜4.42 41 2.17〜4.19
40〜49歳 70 2.44〜4.28 30 2.32〜4.17
50〜59歳 95 2.07〜4.47 35 2.20〜4.78
60〜69歳 28 1.97〜4.25 16 1.91〜4.32
70歳以上 11 1.45〜4.38 24 1.22〜4.05



平成15年3月31日まで下記

年齢 例数 基準値(参考値)
1未満 56 1.45〜2.61
1〜3未満 44 1.64〜3.22
3〜5未満 30 1.74〜3.73
5〜7未満 38 1.76〜4.03
7〜9未満 36 1.78〜4.43
9〜11未満 38 2.33〜4.91
11〜13未満 33 2.75〜5.15
13〜15未満 35 2.99〜5.00
15〜17未満 18 2.43〜5.70
17〜35未満 124 2.29〜4.17
35〜70未満 53 2.17〜4.05

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

IGF−1
GH分泌刺激試験(アルギニン負荷試験、インスリン負荷試験)

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