黄体化ホルモン, LH (luteinizing hormone

臨床的意義 LHは下垂体前葉から分泌されるホルモンで、15〜18%の糖を含む分子量約29,000の糖たん白質であり、α鎖とβ鎖が結合した状態で存在している。 女性ではLHはFSHとの共同作用によって排卵の誘発や黄体を形成する働きを持っている。排卵はLHの多量分泌(LHサージ)により引き起こされ、引き続くLH分泌が黄体を刺激してプロゲステロンの産生を促す。 また、視床下部から分泌されるLH-RH(黄体形成ホルモン分泌ホルモン)によって調節されており、LHの測定は視床下部-下垂体-性腺系の内分泌調節機構を知るうえで重要となる。 特に産婦人科領域の診断に不可欠の者であり、不妊症などの診断や治療効果を見る上で重要である。また、血中のFSH測定値に対するLH測定値の比は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断の一つの指標になる。 一方、男性では主にLHの刺激により精巣からテストステロンが分泌される。

測定法:ECLIA法(令和2年11月25日より)
    FEIA(蛍光酵素免疫測定法) 検査部(平成16年10月4日より開始)
    RIA 法(核医学診療室)(平成17年3月25日)

測定機器 :cobas8000〈e801|e801〉(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)(令和2年11月25日より)
      AIA CL2400(東ソー株式会社)(平成29年5月8日より令和2年11月24日まで)
      AIA-2000(東ソー株式会社)(平成25年12月9日から平成29年5月2日まで)
      AIA-1800(東ソー株式会社)(平成16年10月4日から平成25年12月6日まで)

測定試薬 :エクルーシス試薬LH(令和2年11月25日より)
      AIA-パックCL LH(平成16年10月4日から令和2年11月24日まで)

基準範囲
令和2年11月25日より
男性2.2〜8.4mIU/mL
女性卵胞期1.4〜15mIU/mL
排卵期8〜100mIU/mL
黄体期0.5〜15mIU/mL
閉経期11〜50mIU/mL
試薬添付文書より抜粋

平成29年5月8日より
成人男性 0.52〜7.8  mlU/mL 
成人女性  卵胞期 1.1 〜12.1 mlU/mL 
        排卵期 2.0 〜39.7 mlU/mL 
        黄体期 0.7 〜21.6 mlU/mL 
閉経後 8.4〜67.7 mlU/mL 

平成29年5月2日まで
成人男性 1.7〜11.2 mlU/mL 
成人女性   卵胞期 1.7 〜13.3 mlU/mL 
        排卵期 4.1 〜68.7 mlU/mL 
        黄体期 0.5 〜19.8 mlU/mL 
閉経後 14.4〜62.2 mlU/mL 
核医学
男性 1.80〜5.20mlU/mL      女性  1.40〜7.40mlU/mL

相関
令和2年11月25日
x=AIA-CL2400  y=cobas8000
y=1.196x+1.479  r=0.991  n=117

平成29年5月8日
X=旧機器
Y=新機器
Y=0.9196X+0.0287 r=0.9964  n=102


平成25年12月9日

異常値を示す疾患
高値:性腺機能低下・不全症(卵巣または精巣機能低下症[Turner症候群、Klinefelter症候群、睾丸女性化症候群など])
低値:下垂体機能低下症・不全症(下垂体機能低下症、視床下部機能低下症、神経性食欲異常症、Sheehan症候群、Simmonds症候群)

小児の基準値
 
乳児期に高く1歳以降は二次性徴発来少し前まで低値で、思春期に高くなって成人値に移行する。男女差があり、乳児期には男子の方がやや高く、思春期には女子の方がやや高い。脈動的な分泌とともに、日中低く夜間高い日差変動がある。

採取容器: 茶)試験管

関連項目

卵胞刺激ホルモン(FSH)
性ステロイドホルモン
LHRH(GnRH)負荷試験

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