プロラクチン, PRL ( prolactin)
臨床的意義
PRLは198個のアミノ酸からなる分子量約22,000の蛋白ホルモンで下垂体前葉から分泌されており、分泌刺激因子としてTRHが、分泌抑制因子として主にドーパミンが知られている。
PRLの生理作用としては、妊娠中は乳腺の発達に寄与し、産褥期には乳汁の産生を促す。
しかし、その他の時期にPRLの分泌が亢進する高PRL血症では、乳汁漏出症状や、排卵が抑制されて無月経が起こるなどの不妊原因となる場合もある。
また、男性においては、性欲の減退、インポテンツ、乏精子症等の原因となりうる。
高PRL血症の原因疾患としては、プロラクチノーマなどのPRL産生腫瘍の他、薬剤の服用に伴うものもある。
PRLの測定は、このような高PRL血症の診断、治療効果の判定に用いられる。また、PRLの分泌を刺激するTRHを投与して血中PRL値の上昇を観察する検査(TRH負荷試験)は、潜在性高PRL血症の診断に有用である。
測定法:ECLIA法(電気化学発光免疫測定法)(令和2年11月25日より)
FEIA(蛍光酵素免疫測定法) 検査部(平成16年10月4日より令和2年11月24日まで)
RIA 法(核医学診療室)(平成17年3月25日まで)
測定機器:cobas8000〈e801|e801〉(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)(令和2年11月25日より)
AIA CL2400(東ソー株式会社)(平成29年5月8日より令和2年11月24日まで)
AIA-2000(東ソー株式会社)(平成25年12月9日から平成29年5月2日まで)
AIA-1800(東ソー株式会社)(平成16年10月4日から平成25年12月8日まで)
測定試薬:エクルーシス試薬プロラクチンV(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)(令和2年11月25日より)
AIA-パックCLプロラクチン(平成29年5月8日より令和2年11月24日まで)
基準範囲
令和2年11月25日より
性別 | 性周期 | n | 基準範囲 |
男性 | 71 | 4.3〜13.7 ng/mL (mean±1.96SD) | |
女性 | 閉経前 20〜40歳 | 286 | 4.9〜29.3 ng/mL (mean±1.96SD) |
閉経後 | 128 | 3.1〜15.4 ng/mL (2.5〜97.5パーセンタイル) |
相関
令和2年11月25日
x=AIA-CL2400 y=cobas8000
y=1.35x-0.05 r=0.998 n=118
平成29年5月8日
X=旧機器
Y=新機器
Y=0.93X+1.01 r=0.997 n=103
平成25年12月9日
異常値を示す疾患
高値:プロラクチノーマ、原発性甲状腺機能低下症、Chiari-Frommel症候群、Angonz-del Castillo症候群
低値:下垂体機能低下症、Sheehan症候群
小児の基準値
新生児期には高く、3ヶ月以降はほぼ一定の値を示す。成人では、やや女性が高いが、小児期では明らかな男女差はない。
採取容器: 茶)生化学一般用分離剤入り試験管
関連項目
X線撮影
CTスキャン
MRI
TRH負荷試験
スルピリド負荷試験
分泌抑制試験