血液像・白血球像, differential leukocyte count
臨床的意義
血液中の血球には赤血球,白血球(好中球,好酸球,好塩基球,単球,リンパ球),血小板があり,これらの血球に量的・質的異常が生じると,貧血,免疫能低下,出血傾向などの症状が認められる。血液像でわかる白血球の形態異常には,ウィルス・リケッチア感染などによる異型リンパ球出現,敗血症などにみられる好中球の中毒顆粒・デーレ小体と空胞変性などがあり,腫瘍性の代表的な異常としてアウェル小体,MDSなどの顆粒球形の形態異常などが認められる。また赤血球の形態異常として溶血性貧血をおこし,内因性のもの(サラセミア,鎌状赤血球症)と外因性のもの(鉄欠乏性貧血)がある。その他代謝障害(尿毒性・鉛中毒)などの病態や疾患の診断・治療を評価するために血液像は有用な検査である。
異常値を示す疾患
高値: 好中球の増加(感染症,炎症,外傷,心筋梗塞,骨髄性白血病) ・ リンパ球の増加(ウイルス感染症,リンパ性白血病) ・ 単球の増加(細菌感染症,膠原病) ・ 好酸球の増加(喘息,じん麻疹,寄生虫症) ・ 好塩基球の増加(好塩基性白血病) ・ 赤血球増加症
低値: 顆粒球減少症 ・ リンパ球減少症ビタミンB12・葉酸欠乏
測定法: フローサイトメトリー、パターン認識法、鏡検法(異常細胞検出時、検出可能性のある疾患は鏡検を行います。)
測定機器: ADVIA2120(バイエル社)(平成18年7月18日より)
GNES(コールターベックマン),HEG120(オムロン)(平成18年7月14日まで)
基準範囲
平成31年4月2日より変更
日本臨床衛生検査技師会・日本検査血液学会 血球形態標準化ワーキンググループより引用
項目 | 基準値 | |
NE | Sg | 38.0〜74.0 % |
St | 0.5〜6.5 % | |
Ly | 16.5〜49.5 % | |
Mon | 2.0〜10.0 % | |
Eos | 0.0〜8.5% | |
Bas | 0.0〜2.5 % |
項目 | 基準値 | |
NE | Sg | 29〜70 % |
St | 0〜13 % | |
Ly | 20〜52 % | |
Mon | 0〜13 % | |
Eos | 0〜11 % | |
Bas | 0〜2 % |
*自動分析装置での分類は、好中球を一括してNEで報告します。
相関
平成18年7月18日
目視白血球分類との相関(目視200カウントとADVIA)
Ne(好中球) :Y=0.93X+1.29 r=0.955
Ly(リンパ球 :Y=0.96X+4.56 r=0.963
Mo(単球) :Y=076X+1.42 r=0.767
Eos(好酸球 :Y=0.86X+0.47 r=0.953
Bas(好塩基球):Y=0.17X+0.29 r=0.413
容器:(赤)EDTA-2K入り試験管
関連項目
骨髄像
全血算