ヘモグロビンF HbF ( hemoglobin F )


外注会社:LSI(平成27年8月14日より)

        SRL(平成26年11月28日まで)
       
塩野義(平成15年3月31日まで大塚)

測定方法:HPLC法

基準値  1.1%以下(平成27年8月14日より)
      
0.9%以下(平成15年4月1日より平成26年11月28日まで)

外注大塚
平成15年3月31日まで1.4 %以下 *機器HLC723GHb-III型からHLC723GHb-V型に機種変更のため
平成12年3月31日まで0.9%以下

臨床的意義
 
ヒトヘモグロビンは2本のα鎖と2本の非α鎖からなる四量体であり、それぞれのポリペプチド鎖に1個ずつのヘムが結合している。このポリペプチド鎖の種類により、正常人のヘモグロビンはHbA(α2β2)、HbA2(α2δ2)およびHbF(α2γ2)の3種類が存在する。α鎖は141個のアミノ酸でできており、非α鎖(β鎖、γ鎖、δ鎖)はすべて146個のアミノ酸からなる。このアミノ酸配列をヘモグロビンの一次構造と呼び、β鎖とδ鎖は10個のアミノ酸配列が異なり、β鎖とγ鎖は39個のアミノ酸配列が異なる。これらアミノ酸配列の大部分はαヘリックスというらせん構造、すなわち円柱状の二次構造をしており、各ヘリックスの間に非ヘリックス部がありこの部分で折れ曲がっている。ヘリックスは8ヵ所、非ヘリックス部は7ヵ所あり、各グロビン鎖のアミノ酸はN末端から数えた番号、あるいは各ヘリックス内での番号で呼ばれる。このような二次構造をもったグロビン鎖は非ヘリックス部で折れ曲がり、外側には親水性のアミノ酸が配列し、内側には疎水性のアミノ酸が並び、全体として球形をしている。ヘリックスEとヘリックスFは隙間(ヘムポケット)を形成しており、そこにヘムが入り込んでいる。F8His(ヘリックスFの8番目のヒスチジン)とヘムの鉄が共有結合をしており、酸素はE7Hisとヘム鉄との間で可逆的に結合することになる。このような構造をグロビンの三次構造と呼ぶ。この三次構造をしたグロビン鎖が4本結合して正四面体をなし、ヘモグロビンを形成している(四次構造)。α鎖遺伝子は16番染色体の短腕に位置し、一方、非α鎖すなわちβ鎖、γ鎖、δ鎖の各遺伝子は11番染色体短腕の5´側から順にε、Gγ、Aγ、δ、βと近接して並んでおり、胎生期から出生にかけて順次スイッチングされていくことにより、ヘモグロビンの切り替えが行われる。HbFはサラセミア症候群あるいは異常ヘモグロビン症などの先天性溶血性貧血の診断の補助検査として測定される。また、骨髄異形成症候群や白血病などの造血器腫瘍性疾患や再生不良性貧血に際してもHbFの高値がみられることがあり、病態把握の一手段として測定されることがある。

異常値を示す疾患
高値: βサラセミア、δβサラセミア、β鎖異常の不安定ヘモグロビン症、高胎児ヘモグロビン症、悪性貧血、再生不良性貧血、白血病、MDS、発作性夜間血色素尿症、骨髄線維症

採取管:LSI(灰

先頭に戻る       前ページに戻る