ペルオキシダーゼ反応, peroxidase reaction


臨床的意義
 
ペルオキシダーゼ(peroxidase ; PO)には、(1)好中球および単球のミエロペルオキシダーゼ(myeloperoxidase ; MPO)、(2)好酸球に特異的な好酸球PO(eosinophil peroxidase ; EPO)、および(3)巨核球・血小板に特徴的な血小板PO(platelet peroxidase ; PPO)の3種類がある。これらは化学的に別個の物質で、異なる遺伝子の調節下にある。(3)は電顕でのみ観察可能で、通常の細胞化学により光顕レベルで観察される(1)と(2)を合わせてMPOと呼ぶことが多い。MPOは顆粒球系、単球系細胞のみ陽性で、リンパ系、赤芽球系、血小板系はまったく陰性なので、顆粒球系のgolden markerとして用いられる。臨床的には、1.急性白血病のFAB分類、2.慢性骨髄性白血病(chronic myelocytic leukemia ; CML)の急性転化の病型分類、3.先天性MPO欠損症や骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome ; MDS)などにおけるMPO陰性好中球検出などのために用いられる。芽球のMPO陽性率が3%以上の場合には急性骨髄性白血病(acute myelocytic leukemia ; AML)と診断可能であるが、3%未満の場合には急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia ; ALL)のほか、M0、M7、および一部のM5(ことにM5a)の可能性がある。3%という数字はALLの場合にも、この程度の正常由来のMPO陽性芽球が残存している可能性があるという経験的事実に基づいている。芽球のMPO陽性率が3%未満の場合には、エステラーゼ染色や各種細胞表面ないし細胞質内抗原の免疫学的検索などが必要となる。また、CMLの急性転化期のリンパ性と骨髄性との鑑別のための明確な基準はないが、通常急性白血病に準じて芽球のMPO陽性率から分類される。

測定方法: 用手法

容器:血液:(赤)EDTA-2K入り試験管 骨髄:塗抹標本2枚

関連項目

ズダン黒B(Sudan blackB ; SBB)染色
免疫細胞化学
電顕的細胞化学
電顕的PPO
MPOmRNA

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