サイロキシン結合グロブリン, TBG (thyroxine binding globulin) 


測定法:RIA ポリエチレングリコール法

外注会社:BML(平成15年3月31日まで大塚)

臨床的意義
 
血中の主要な甲状腺ホルモン輸送蛋白質としては、TBG(thyroxine binding globulin)、TBPA(thyroxine binding prealbumin=transthyretin)、albuminの3種類がある。その中でTBGは血中T4の65%、T3の75%を結合する最も重要な蛋白質である。TBGの分子量はSDS-PAGEにて54kDaの酸性糖蛋白質であり、肝臓で合成、分泌される。血中半減期は約5日である。TBG分子1個につき1個のホルモン結合部位が存在する。TBG遺伝子はX染色体の長腕中央部(Xq22.2)に位置し、4つのcoding exonと1つのnoncoding exonより構成される。そのcDNAは1,245bpで、シグナルペプチドが外れてアミノ酸395個の成熟TBGとなる。また、TBGはserine protease inhibitor(serpin)ファミリーに属することが知られている。従来、甲状腺機能検査に用いられたfree T4 index(総T4/TBGなど)の算出に使用されたが、我が国のように遊離型甲状腺ホルモンの測定が主流となった現状では、逆に結合蛋白質の異常を間接的に発見することは困難となっている。ゆえに、TBGの異常を直接検出できる測定法として、特に甲状腺疾患患者においては積極的に本検査を実施していくことが必要と思われる。

異常値を示す疾患

  増加 減少
先天性 遺伝性TBG増加症 遺伝性TBG減少症、遺伝性TBG欠損症
後天性 甲状腺機能低下症、妊娠、急性肝炎、肝癌、慢性活動性肝炎、AIDS、急性間欠性ポルフィリア、燕麦細胞癌、神経血管性浮腫、薬剤(エストロゲン、ヘロイン、メサゾン、ペルフェナジン、5-フルオロウラシル、クロフィブラート) 甲状腺機能亢進症、慢性アルコール性肝障害、ネフローゼ症候群、慢性腎不全、糖尿病性ケトアシドーシス、栄養失調、カロリー制限、先端巨大症、Cushing症候群、リンパ肉腫、薬剤(アンドロゲン、蛋白同化ステロイド、糖質コルチコイド(大量)、L-アスパラギナーゼ

基準範囲:  12〜28 μg/mL(平成15年3月31日まで12〜30 μg/ml)

小児の基準値
 新生児期に最も高値であり、その後小児期を通じて漸減し成人レベルとなる。小児期には男女差はない。

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

総T3
総T4
T3摂取率(T3U)

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