酸性フォスファターゼ, ACP (acid phosphatase)
平成14年3月31日まで院内検査
平成14年4月1日より外注(大塚)
平成15年4月1日より外注(塩野義)


臨床的意義
 
酸ホスファターゼ(ACP)はヒト前立腺、骨、肝、腎および血球系より由来する5つのアイソザイムからなる。ACPはヒトの組織、体液中に広く分布し、大半はリソソームに由来している。ACPはポリアクリルアミドゲル電気泳動による解析でアイソザイム0、1、2、3、4、5に分類される。前立腺は他臓器の1,000倍以上のACPを産生しているが、前立腺由来のACP(PAP)は抗原的にリソソーム由来のものとは異なるので、PAPの測定は前立腺癌と他の原因によるACPの高値とを鑑別するのに役立つ。

高値疾患: 前立腺癌、前立腺肥大症、急性前立腺炎、前立腺梗塞、多発性骨髄腫、骨髄性白血病、hairy cell leukemia

測定原理
 
基質2、6、-ジクロロ-4-アセチルフェニルリン酸(DCAP-P)は検体中の酸性ホスファターゼにより加水分解され、2、6-ジクロロ-4-アセチルフェノール(DCAP)を遊離する。このDCAPの吸光度増加速度を測定波長340nmで測定することにより、検体中の酸性ホスファターゼ活性が測定できる。

測定機器: 日立7070自動分析装置(平成14年3月31日まで)

測定試薬: 日東紡績(平成14年3月31日まで)

基準範囲: 7.3〜13.6 U/L(平成15年4月1日より)
         7.2〜14.4 IU/L(平成15年3月31日まで)
        
5.3〜11.5 IU/L(平成14年3月31日まで)

小児の基準値
 乳児期には高く、対成人値比は約1.6で、その後漸減して成人値になる。50歳以上では壮年期より低値である。思春期以降は、前立腺由来のACPのために男性の方が女性より高い。酒石酸抵抗性ACPは小児、思春期、閉経後の女性で高い。

採取容器:
茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

  
PSA

参考文献

黒岩勝昌、他 :  2、6、-ジクロロ-4-アセチルフェニルリン酸(DCAP-P)による酸性ホスファタ ーゼ測定法の開発(第1報)第29回日本臨床化学会要旨集(1989)
吉田俊彦、他 : 2、6、-ジクロロ-4-アセチルフェニルリン酸(DCAP-P)による酸性ホスファターゼ測定法の開発(第2報)第29回日本臨床化学会要旨集(1989)
井川幹夫 : 日本臨床、57巻、臨時増刊号(1999)

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