AST(aspartate aminotransferase), GOT(glutamic oxalacetic transaminase)


臨床的意義
 ASTはアスパラギン酸・α−ケトグルタル酸とグルタミン酸・オキサロ酢酸との間のアミノ基転移酵素で、心臓・肝臓・骨格筋に多く存在しているが、健常者の血清中には非常にわずかな量しか存在しない。しかし組織の細胞損傷によって血中に酵素が放出され活性値が上昇するので、肝胆道系疾患、心疾患、筋疾患、溶血性疾患などの障害の程度、臨床経過など診断上有力な指標である。

高値疾患
急性肝炎・慢性肝炎AST<ALT・肝硬変AST>ALT・脂肪肝・心筋梗塞・血液疾患 

測定原理:MDH−UV法(JSCC常用基準法)
 ASTはα−ケトグルタル酸のα−ケト基とL−アスパラギン酸のアミノ基の転移反応を触媒して、オキサロ酢酸とグルタミン酸を生成します。この反応に共役して、リンゴ酸脱水素酵素(MDH)は生成したオキサロ酢酸の存在下で、β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド還元型(NADH)をβ−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド酸化型(NAD)に変えます。この時のNADHの減少速度を波長330〜350nm(または、330〜350nmを主波長とし、405〜800nmを副波長とした2波長差)で測定することにより、AST活性値を求めます。

測定機器: 日本電子BM8040(平成26年3月24日より
        日本電子BM2250(平成18年7月18日より平成26年3月20日まで)
        日立7350自動分析装置(平成18年7月14日まで)

測定試薬: (株)シノテスト(平成22年6月1日より)
             
シスメックス(旧:国際試薬) (平成22年5月31日まで)

基準範囲: 13〜30 U/L (平成27年7月1日より共用基準範囲に変更)
        10〜35 U/L(岡山県医師会制定:平成16年4月より平成27年6月まで
               11〜32 U/L  (相関:Y=1.196X+1.070  従来法:X)(平成6年9月より平成16年3月まで)
               
9〜38 U/L(平成6年8月まで)

相関
平成22年6月1日
X=旧試薬
Y=新試薬
Y=0.96X+0.4 r=0.999  n=200


平成18年7月18日
X=旧機器
Y=新機器
Y=1.01X-0.65 r=0.999  n=200

小児の基準値
 
新生児期には成人より高値(対成人値比が男性約1.4、女性約2.2)で、その後も増加して7ヶ月ごろに最高値(対成人値比が男性約1.9、女性約2.3)になる。その後漸減して思春期頃には成人値となる。60歳以上では男女ともに上昇傾向がある。思春期以降では男性の方が女性より高いが、成人の場合ほどの差はない。

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

ALT(GPT)
LD(LDH)
ChE
ALP
γ−GT(γ−GTP)

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