尿中β-D-Nアセチルグルコサミニダーゼ, NAG (N-acetyl-β-D-glucosaminidase) 

臨床的意義
NAGは分子量が11.2〜12.6万と推定されるリソゾーム中に含まれる加水分解酵素のひとつで、非還元性の2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-グルコース残基に作用するグルコシダーゼの一種である。 前立腺と腎では特に近位尿細管に多く含まれており、NAGの分子量が比較的大きいため、血清中のNAGは通常尿中にはほとんど排泄されない。 NAGは腎尿細管や糸球体障害で尿中に出現し、とくに尿細管障害の程度の軽い時期、すなわち試験紙法で尿蛋白が陰性の時期から尿中に逸脱するといわれているため、腎病変の早期発見に有用である。 また腎移植後の経過観察や上部尿路感染の指標としても用いられる。尿中NAG活性は朝高く、日中から夜間にかけて低くなる傾向がある。 このため冷暗所に24時間蓄尿するか早朝尿で測定することが望ましい。
pH8以上のアルカリ尿、およびpH4以下の酸性尿では失活し、見かけ上低値になる。また室温保存でも1〜2日で活性が半減するので、冷蔵または冷凍保存が必要である。

高値疾患:ネフローゼ症候群、急性腎不全、糸球体腎炎、糖尿病性腎炎、薬物による腎障害

測定方法:酵素法(6-メチル-2-ピリジル-N-アセチル-1-チオ-β-D-グルコサミニド法)

測定機器:日本電子BM6050 (平成26年8月15日より)
     日本電子BM1650(平成18年7月18日より平成26年3月20日)
     日立7070自動分析装置 (平成18年7月14日まで)

測定試薬:N-アッセイ L NAGニットーボー(ニットーボーメディカル株式会社)

基準範囲
随時尿:0.3〜11.5 U/L   畜尿:1.6〜15.0 U/g・crea
(1.1〜20.31 U/L 平成8年10月12日まで)

相関
平成26年8月15日
X:JCA-BM1650  Y:JCA-BM6050
Y =1.00X+0.16 、r=0.957 (n=114)
平成18年7月18日
X=旧機器  Y=新機器
Y=1.00X+0.28 r=0.999 n=200
平成8年10月13日
X=旧試薬  Y=現試薬
Y=0.65X-0.55   r=0.970    n=90

採取容器:白)尿用試験管

関連項目

  
クレアチニン
尿酸
尿素窒素
β2マイクログロブリン
尿中蛋白定量

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