FTA-ABS(梅毒トレポネーマ蛍光抗体吸収試験) fluorescent treponemal antibody-absorption 

測定法:FTA-ABS法(IgG), (IgM)


外注会社:
MCM(IgG), BML(IgM)

臨床的意義
 
スライドに梅毒病原体Treponema pallidumの菌体成分を吸着させ、T.pallidum抗体を間接蛍光抗体法で検出するもの。いったん抗体を獲得すると、TPHAやFTA-ABSではほぼ生涯にわたり陽性となるため、梅毒の既往を知るには有用である。その反面、治癒後も陽性を保つため治療効果の判定には、STSが適している(治療が奏効すると低下する)。現在、梅毒の血清診断にはSTSとTPHAを併用する施設が多い。通常は、まず感染10日後頃にIgM抗体が産生され、第1期の終わり頃にはSTSやFTA-ABSが陽性となる。次いで、TPHAが陽転し、治療後はSTSが陰性化してもTPHA、FTA-ABSは陽性が続く。しかし、最近の感染報告では、一度に侵入する菌量が多いため、STSとTPHAが同時に陽性となる例も多いという。梅毒の疑われる患者では、3〜4週後に再検査を疑い、抗体価の変動を見る必要がある。特に感染初期や、不完全な治療を施した症例では、経過を追って検査が必要になる。又血清梅毒反応が陰性でも感染直後であれば、患者血清には感染力が有り、取り扱いには注意が必要である。

基準値: 定性:陰性(-)  定量: 20 倍未満

適応疾患
後天梅毒:第1期梅毒,第2期梅毒,第3期梅毒(晩期梅毒),潜伏梅毒
先天梅毒:乳児梅毒,晩発性先天梅毒,無症候性先天梅毒

STSの生物学的偽陽性(BFP)反応は梅毒と関係なく抗カルジオリピン抗体が出現する場合:癩,SLEをはじめとする自己免疫疾患,肝疾患,麻薬中毒(ことにヒロポン),その他種々の疾患または状態

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

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