尿中肺炎球菌莢膜抗原検出


臨床的意義

肺炎球菌は、莢膜を有するグラム陽性双球菌で、肺炎に代表される呼吸器疾患などの起因菌となる菌である。肺炎は、その起因菌から細菌性肺炎と非定型肺炎に分けられるが両者の治療は、異なるため起因菌の検出は、臨床上重要である。本検査は、尿中に排出された肺炎球菌の莢膜抗原を特異的に認識するポリクローナル抗体を用いたイムノクロマト法で検出する検査であり、迅速かつ非侵襲的な検査であるため、喀痰採取が困難な患者においても可能である。

使用キット:Binax Now 肺炎球菌

検体   :尿(1ml)

原理   :イムノクロマト法

所要時間 :15分

判定   :定性

基準値: (-)

採取容器:
滅菌長試験管

 

結果の解釈における注意点

・抗菌薬の投与がなされている患者であっても、尿中の肺炎球菌の莢膜抗原は、影響を受けにくいとされており検査は可能である。

・尿中に排出されるのは、通常症状出現後3日目以降であり、発症直後の検体では、検出できない恐れがある。

・炎症症状が改善しても2ヶ月以上にわたって排出されることもあるため、治療の効果判定には用いることはできない。

・年齢2〜60ヶ月の乳幼児において、肺炎球菌は鼻咽頭に常在している場合があるが、そのような症例については、偽陽性を呈することがある。

・Streptococcus mitisと肺炎球菌は、共通抗原が存在するため、偽陽性を示すことがあるが、S.mitisは心内膜炎の起因菌であり、肺炎患者から検出される可能性は低いものと考えられる。

 

 

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