ウイダール反応, Widal reaction
平成14年3月31日まで院内検査
平成14年4月1日より外注(MBC)
平成19年3月31日 中止
臨床的意義
腸チフスやパラチフスなどのサルモネラ症では、感染は腸管粘膜にとどまらず全身感染をきたす。すなわち、汚染された飲食物を介して起炎菌(サルモネラ)は、胃や十二指腸を通過し、腸管へ達し、腸管リンパ装置(パイエル氏盤)のMcellに侵入、増殖し、やがてリンパ装置を破壊し、リンパ管内に入り、腸管膜リンパ節や胸管を経由して左鎖骨下静脈から大循環系に入り、菌血症を起こす。さらに、転移性に肝臓、脾臓、骨髄などに感染し、これら臓器の細網内皮組織(マクロファージ)内で増殖し、敗血症を起こす。この敗血症病期は2〜3週続き、臨床症状として高熱、発疹、悪寒、けいれんや意識障害などが認められるが、これらの腸チフス症状はLPS(lipopolysaccharide)、すなわちendotoxinに対するcytokines反応と考えられている。ウィダール反応はチフス菌、パラチフス菌などのサルモネラ菌感染症の血清学的診断に用いられる凝集反応である。この検査は、1896年にWidalにより考案された腸チフスの血清学的診断法であるが、検査法が複雑で、使用する抗原にも問題があり、類属菌との交差反応がみられ、特異性に問題がある。サルモネラ症(腸チフス、パラチフス)に罹患後、患者にはチフス菌やパラチフス菌の菌体成分(O抗原)、鞭毛(H抗原)、や莢膜(Vi)などに対する抗体(凝集素)が、感染2週間後ぐらいから産生される。ウィダール反応はこの凝集素価の上昇から、間接的にサルモネラ症の診断を行う検査である。このうちH抗体は診断的価値が少ないので省略される。
測定方法: 細菌凝集反応
基準範囲
平成14年4月1日より
T-Vi | 20倍未満 |
T-O | 160倍未満 |
PA-O | 80倍未満 |
PB-O | 160倍未満 |
平成14年3月31日まで
T-Vi | 80倍未満 |
T-O | 320倍未満 |
PA-O | 160倍未満 |
PB-O | 160倍未満 |
適応疾患: 腸チフス ・ パラチフスA,B ・ ワクチン接種
採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管
関連項目
血液培養
骨髄血培養