病理部
病理部のご紹介
病理部では提出された患者さんの組織や細胞から顕微鏡検査用にガラス標本を作製し、その所見から病気の診断を行っています。私たちが扱う疾患は全臓器に及び、病気の種類も炎症、腫瘍など様々です。
病理診断をとおして、患者さんの病気がどのようなもので、どのような治療が必要なのか、これから病気がどのようになっていくのかを知り、適切な診療を提供することが私たちの願いです｡
組織検査
患者さんから採取された組織から病気の診断を行う検査です。
組織検体には大きく2種類あり、胃や大腸などの内視鏡検査で病変の一部を採取したり、針を刺して組織を採取する小さい検体と、手術によって摘出された手術検体があります。
摘出された手術検体は病理医が肉眼で病変の見た目、大きさ、広がりなどを確認し、診断に必要な場所を標本にします。
これらの検体をホルマリンにつけて固定し、パラフィンでブロックを作成し、約3μmほどの薄さで切り（薄切）、染色をして標本をつくり、病理医が診断をします。
この診断により病変が良性なのか悪性なのかを調べたり、手術で癌が取り切れているか、転移があるか、どの治療薬が適切かどうかなどを調べたりすることができます。
また、この検査で作製した組織を使い、遺伝子検査を行うこともできます。
この検査は治療方針や治療の効果、予後の判定などに大きく関わってくる検査です。
術中迅速病理検査
手術の最中に組織や細胞を採取し、標本を作製して行う診断です。
この診断により、術者は手術中に適切な手術方法を選択できたり、病変の取り残しが無いように手術範囲を決めることができます。患者さんのQOLにつながる大切な検査の一つです。
通常の組織検査との大きな違いは、標本の作製にかかる時間です。通常の組織検査での診断はホルマリンで固定する必要がありますが、これには最低でも1日以上かかります。それに対して術中迅速検査は、組織を凍らせて硬くし、薄切して標本を作ります。その標本を直ちに病理医が診断し、術者へ直接電話して報告します。組織に関わる時間は約15分です。
迅速診断後には凍らせた組織を溶かし、ホルマリンで固定したあと、通常の組織検査と同じく病理医が診断を再確認しています。
細胞診検査
患者さんから採取された細胞を顕微鏡で観察し、癌細胞などの異常な細胞を検出する診断です。
検体には痰や、胸水、腹水など体にたまってしまった液体や尿の中の細胞、子宮から採取する婦人科検体、病変に針を刺して採取される細胞などがあります。これらの細胞を顕微鏡で診断できるようにするために組織検査とは違った染色をしています。
標本は細胞診を専門とする細胞検査士と病理医が顕微鏡で観察し、診断を行っています。
細胞診は、組織とは異なり、検体を採取する時に患者さんの負担が軽いことがメリットの一つです。そのため、まずは細胞診で異常な細胞がないかを確認し、異常が見つかった場合、組織検査や画像検査を行うこともあります。
