IL-6(インターロイキン-6)
臨床的意義
多臓器障害はICU入室患者の主たる死亡原因である。特に敗血症や多発外傷などに合併すると死亡率が著名に高まることが知られている。また、臓器障害の遷延によるICU在室期間の長期化はICU-AW(ICU関連神経障害)などの新たな問題をもたらすことが指摘されており、臓器障害の有無を早期に認知し、早期介入による多臓器障害への進展予防と、多臓器障害からの早期離脱を目指すことが必要とされている。
多臓器障害はウイルスや細菌等の感染に伴う敗血症や外傷などの侵襲により、炎症性カイトサインが過剰産生されること(サイトカインストーム)により惹起される。炎症性サイトカインの1つであるIL-6は、既存のバイオマーカーに比べ早期にピークを示し、TNF-αやIL-1β等を比べ半減期が長いことに加え、加療に伴って速やかに低下を認めることから、炎症の程度を評価し治療方針を決定するためのバイオマーカーとして優れた特徴を備えている。
異常値を示す疾患
[高値]
全身性炎症反応症候群、多臓器障害、敗血症、関節リウマチ、川崎病、多発性骨髄腫、心房内粘液種、乾癬、メサンギウム増殖性腎炎、髄膜炎、AIDS、骨粗鬆症、移植後拒絶反応
測定方法: 1ステップサンドイッチ法による電気化学発光免疫測定法
測定機器: cobas8000〈e801|e801〉(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)(令和3年4月27日より)
測定試薬: エクルーシス試薬 IL-6 (ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)
基準範囲: 7.0 pg/mL以下
採取容器: 茶)生化学一般用分離剤入り試験管
関連項目