LRG (ロイシンリッチα2グリコプロテイン)
臨床的意義
ロイシンリッチα2グリコプロテイン(Leucine-rich alpha2 glycoprotein;LRG)は炎症性腸疾患(Inflammatory bowel disease;IBD)の寛解期と活動期を反映する血清バイオマーカーである。
IBDは原因が明らかにされていない慢性非特異性腸炎の総称であり、難病指定されている。潰瘍性大腸炎とクローン病に分類され、腹痛、下痢、血便などの症状を再燃と寛解を繰り返しながら慢性的に推移する炎症疾患である。
IBDの治療は、近年の生物学的製剤の進歩により、炎症抑制に有効なTNF-α阻害剤が開発され、ステロイド剤などと組み合わせることにより炎症の鎮静化や再燃予防が可能になった。
しかし、そのためには疾患活動性を適切に判断することが必要であり、侵襲性の高い内視鏡検査に頼らない炎症性マーカーの登場が待たれていた。
糞便を材料とするカルプロテクチンはIBDの診断補助に有用であり、血清を材料とするLRGはIBDの活動期の判定補助に有用である。また、潰瘍性大腸炎の活動期の判定には臨床指標、CRPおよびLRGの組み合わせが活動期の判定補助にそれぞれ有用である。
異常値を示す疾患
[高値]
潰瘍性大腸炎、クローン病、感染症やリウマチなどの炎症性疾患、一部の悪性腫瘍
測定方法:ラテックス凝集法
測定機器:日本電子BM8040 (令和3年3月26日より)
測定試薬:ナノピアLRG(積水メディカル株式会社)(令和3年3月26日より)
基準範囲:6.5〜13.9μg/mL
採取容器: 茶)生化学一般用分離剤入り試験管
関連項目