オリゴクロナールバンド
測定法: 等電点電気泳動法
外注会社:LSIM (旧MCM平成26年3月31日まで)
臨床的意義
多発性硬化症(multiple
sclerosis ;MS)
は中枢神経系の炎症性脱髄疾患の一つで、時間的・空間的に多発するのを特徴とします。多発性硬化症では、脱髄病巣の炎症を反映した髄液中に種々の異常を呈し、特に髄液腔で産生されたIgG
量が著しく増加します。髄液中IgG
を評価する際は、血清からの移行を考慮する必要があり、中枢神経系のIgG
産生の指標としてIgG
インデックスが有用です。オリゴクローナルバンド(OB)
とは、髄液蛋白の電気泳動においてγ-グロブリン領域に幅狭く濃染した数本のバンドが出現するものを指し、MS
を始めとする脱髄性疾患や中枢神経系の感染症などで高率に検出され、とりわけMS
では重要な診断指針となります。OB
検出法として、これまで我が国では主にアガロースゲル電気泳動法が用いられてきましたが、MS
症例における陽性頻度が欧米の報告に比して著しく低いことが課題とされていました。これに対してより高感度な等電点電気泳動法の場合、大脳を中心に多発的に脱髄病変を生じる通常型MS
で約69%、病変が限局される視神経脊髄型MS
でも約5%の陽性率を示すことが報告されています。実際、公費支援の対象とすべきMS患者の認定基準には等電点電気泳動法が指定されています。より適確なMS
診断のために、中枢神経系におけるIgG
産生異常の量的指標であるIgG
インデックスと質的指標であるオリゴクローナルバンドを併せて測定することが有用です。
異常値を示す疾患
多発性硬化症
基準値: 陰性:バンド数0〜1
陽性:バンド数2本以上
採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管