アポリポ蛋白, apolipoprotein( A−T,A−U,B,C−U,C−V,E)
平成14年3月31日まで院内検査
平成14年4月1日より外注(大塚)
平成15年4月1日より外注(BML)
臨床的意義
本態性高脂血症と二次性高脂血症があり、Fredericksonの分類や簡易分類法がある。
生理的意義
血漿中の脂質は、ほとんど蛋白と結合しリポ蛋白の形で存在する。アポリポ蛋白は、遊離コレステロール、エステル型コレステロール、中性脂肪、リン脂質、僅かな遊離脂肪酸と結合している。超遠心分離的性状に従って分類されるリポ蛋白で、カイロミクロンは中性脂肪を最も多く含み大部分が外因性であり、食後に増加し血清は乳びを呈する。VLDLは、肝臓で合成された脂質を末梢組織へ運ぶ役割をし、中性脂肪の占める割合がやはり一番多い。LDLは全リン脂質の40〜50%を占め、コレステロール含量が一番多くやはり末梢組織へコレステロールを運ぶ役割を果たす。また蛋白部分はほとんどがアポリポ蛋白Bである。HDLは、逆に肝臓にコレステロールを運ぶ。
測定機器: 日立7170自動分析装置(平成14年3月31日まで)
測定試薬: アポオート・2「第一」 第一化学薬品株式会社(平成14年3月31日まで)
測定方法: TIA法
測定原理: アポリポ蛋白 + 抗アポリポ蛋白抗体(ヤギ)→ 抗原抗体複合物 → 濃度計算
基準範囲
(平成15年4月1日より)
項目 | 基準範囲(男) | 基準範囲(女) |
A−T | 119〜155 mg/dL | 126〜165 mg/dL |
A−U | 25.9〜35.7 mg/dL | 24.6〜33.3 mg/dL |
B | 73〜109 mg/dL | 66〜101 mg/dL |
C−U | 1.8〜4.6 mg/dL | 1.5〜3.8 mg/dL |
C−V | 5.8〜10.0 mg/dL | 5.4〜9.0 mg/dL |
E | 2.7〜4.3 mg/dL | 2.8〜4.6 mg/dL |
(平成6年9月〜平成14年3月31日まで)
項目 |
基準範囲 | 相関(X:従来法日立7150) |
A−T | 113〜202 mg/dl | Y=1.249X+0.150 |
A−U | 26〜 46 mg/dl | Y=1.074X+0.107 |
B | 46〜142 mg/dl | Y=0.990X-2.559 |
C−U | 1.13〜7.23 mg/dl | Y=0.876X+0.071 |
C−V | 3.48〜18.7 mg/dl | Y=1.007X+0.747 |
E | 2.71〜8.20 mg/dl | Y=1.023X+0.052 |
旧基準範囲(平成6年8月まで)分析器変更に伴う
項目 | 基準範囲 |
A−T | 81〜192 mg/dl |
A−U | 19〜44 mg/dl |
B | 56〜148 mg/dl |
C−U | 1.26〜5.46 mg/dl |
C−V | 2.81〜13.14 mg/dl |
E | 2.43〜6.44 mg/dl |
血漿中のリポ蛋白が上昇する疾患: FredericksonのU・V型の高脂血症・ネフローゼ症候群・甲状腺機能低下症・糖尿病・閉塞性黄疸・肝炎・肥満症・妊娠など
血症中のリポ蛋白が減少する疾患: 無β−リポ蛋白血症・無α−リポ蛋白血症・甲状腺機能亢進症・肝硬変・重症肝実質障害・吸収不全症・悪疫質など
検体採取・測定条件
・早朝空腹時の採血を原則とする。
・血清分離後,冷蔵保存をする。
・A-I・A-II・Bの場合,乳ビ血清はデータ高値傾向がみられる。
生理的変動
・アポA-IおよびEでは女性の方が有意に高値を示すのに対し, アポB,C-IIおよびC-IIIで は男性の方が有意に高値を示す。
・食事,とくに脂肪やアルコール摂取の影響を受けやすい。
採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管
関連項目
リポ蛋白分画
総コレステロール(TCHO)
トリグリセライド(TG)
HDL−コレステロール