HDL-コレステロール定量, HDL-C, HDL-cho(high density lipoprotein cholesterol)


臨床的意義
 
高比重リポ蛋白(HDL)は末梢から肝臓へのコレステロールの逆転送に重要な役割を果している。HDLは抗動脈硬化作用を有し,冠動脈疾患(CHD)の防御因子として重要であり,低HDL-C血症はCHDの主要なリスクファクターの一つに数えられている。HDLは主に肝臓,腸管で合成されタンパク質50%,脂質50%から構成される。脂質はさらにリン脂質23%,コレステロール20%,トリグリセライド(TG)5%などから成っている。主要なアポタンパクはアポA-I,A-IIである。HDL-Cの測定はこのHDL分画中のコレステロールを測定し,HDLの総量および組成について知るための検査である。よって動脈硬化性疾患における危険因子の検査や脂質代謝異常が想定されるときに有用である。

測定方法: 酵素法(直接法)

測定機器: 日本電子BM8040(平成26年3月24日より
        日本電子BM2250(平成18年7月18日より平成26年3月20日まで)
        日立7350自動分析装置(平成18年7月14日まで)

測定試薬:  協和メディクス(平成22年5月12日より)
                  第一化学(平成18年7月18日より 平成22年5月11日まで)
                  協和メディクス(平成18年7月14日まで)

相関
平成22年5月12日

平成18年7月18日
X=旧機器、旧試薬
Y=新機器、新試薬
Y=0.89X+2.68 r=0.987  n=200

基準範囲  :  男:38〜90 mg/dL、女:48〜103mg/dL(平成27年7月1日より共用基準範囲へ変更)
           男:41〜85 mg/dL、女:41〜100 mg/dL(
岡山県医師会判定基準変更:平成16年4月より平成27年6月まで)
                   41 〜 65 mg/dl (平成12年4月1日より岡山県医師会の判定基準を採用)
                   以前の基準範囲は統計結果による。

31〜95 mg/dl 平成6年9月〜平成12年3月まで 
30〜70 mg/dl 平成6年8月まで

動脈硬化学会基準: 40mg/dL未満を異常値としている。

異常値を示す疾患
高値: 家族性高HDL血症 ・薬物(インスリン,エストロゲン,高脂血症治療薬) ・アルコール多飲 ・CETP欠損症
 
低値: Tangier病 ・LCAT欠損症・アポA-I 異常症 ・LPL欠損症 ・高リポ蛋白血症

採取容器:
茶)生化学一般用分離剤入り試験管
 
関連項目

L−CAT
リポ蛋白分画
アポリポタンパク
総コレステロール(TCHO)

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