PIVKA-II, protein induced by Vitamin K absence or antagonists-II


臨床的意義
 
血液凝固因子のうちII、VII、IX、X因子はいずれも肝臓で合成されるが、このときにビタミンKが必要である。また、これらの因子はいずれも活性化の際Ca2+を必要とし、N末端領域にγ-カルボキシグルタミン酸(Gla)を有するなど性格は類似している。しかしこれらの因子は、ビタミンKが欠乏するとGlaはカルボシキ化されないで、グルタミン酸(Glu)のまま血中に出現する。このような正常の凝固因子活性をもたない蛋白をPIVKA(protein induced by Vitamin K absence or antagonist)あるいはdes-γ-carboxy prothrombin (DCP)と呼ぶ。これらはそれぞれの凝固因子に対応してPIVKA-II、VII、IX、Xとよばれるが、このうちPIVKA-IIが主にビタミンKの腸管における合成障害や、腸管からの吸収障害の指標として従来は測定されていた。すなわち、脂様性であるビタミンKは腸内細菌により合成され、吸収に胆汁酸が必要なため、抗生剤などの投与による正常腸内細菌の抑制や、胆汁の分泌がないか、あっても悪い場合を推測する検査であった。また、これらの因子はずべて肝臓で合成されるために、肝実質障害ではII、VII、IX、X因子は低下するため肝実質障害の検査として用いられた時があった。Liebmanらは、特異抗体をもちいたRIA法によって測定したPIVKA-IIが肝細胞癌で高率に出現することで肝細胞癌の腫瘍マーカーとして見いだした。現在では、PIVKA-IIは、ビタミンKの吸収障害、肝実質障害のみでなく肝細胞癌における代表的な腫瘍マーカーであるα-フェトプロテイン(AFP)に並ぶ腫瘍マーカーである。PIVKA-IIは、AFP値とのあいだにまったく相関がなく、AFP低値ないし陰性例の30%前後でPIVKA-IIの上昇が認められる。加えて、進行癌では両者陽性の占める割合が高いのに対して、小肝癌になるほどいずれか一方が陽性の割合が多いため、同時測定が必要である。また、血中PIVKA-IIが高値を示す例では治療効果をよく反映し、とくに著 効例ではAFPよりも速やかに正常域まで下降する。さらに、他の検査に先がけて再上昇することもあるため、再発の指標となる。 

高値疾患: 
肝細胞癌 ・転移性肝 癌 ・ビタミンK欠乏症(乳児) 

測定方法: 化学発光酵素免疫測定法(平成20年11月27日より)
      
電気化学発光法(平成15年5月26日から平成20年11月26日まで)
              酵素免疫測定法(平成15年5月23日まで)

測定機器: ルミパルスL2400(平成29年5月8日より)
       ルミパルスプレスト(平成21年10月19日より平成29年5月2日まで))
        ルミパルスf(平成20年11月27日より平成21年10月16日まで)
        ピコルミ(平成15年5月26日から平成20年11月26日まで) 
        オートリーダー(平成15年5月23日まで)


測定試薬: 富士レビオ(平成20年11月27日より)

相関:

平成29年5月8日
X=旧機器
Y=新機器
Y=0.952X+3.05 r=0.999  n=127


平成21年10月19日より
y=0.99x+9.15 N=106 r=0.999

500mAU/ml以下

y=0.92x+1.64 N=98 r=0.997

100mAU/ml以下

y=0.89x+2.18 N=94 r=0.945

(x=フォルテ、y=プレスト)
 


 



*PIVKA-Uについて血漿検体では約25%低値になります。


基準範囲: 28 mAU/ml 以下
       
0.063AU/ml以下(平成5年2月15日〜平成10年3月31日まで)

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

PT
トロンボテスト
ヘパプラスチンテスト
AFP
腹部エコー
CT
MRI

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