ガストリン放出ペプチド前駆体, Pro GRP (Pro-gastrin-releasing peptide)
平成18年6月27日より外注(SRL),平成24年12月14日より院内実施


臨床的意義
 
ガストリン放出ペプチド(gastrin-releasing peptide; GRP)は、豚の胃から分離された消化管ホルモンであり、本来の作用はガストリンの血中への分泌促進にあるが、肺小細胞癌で高率に産生されていること、そして同癌のオートクリン増殖因子として働いていることが知られている。GRPそのものは、血中において不安定であり臨床応用に適さずその前駆体であるPro-gastrin-releasing peptide; ProGRPがGRP同様、肺小細胞癌で高値を示す。いくつかの検討からNSE (neuron-specific enolase)より肺小細胞癌のマーカーであることが示されている。
(1)感度、特異度に優れ、特に肺良性疾患で陽性を示す例は、ほとんどない。
(2)肺小細胞癌症例でカットオフ値を越える場合、カットオフ値に比し著明に高値を示す事が多い。
(3)肺小細胞癌であれば比較的早期から陽性を示す。
(4)治療に対する反応とよく相関し、特に再発の際は治療前に陽性を示した例の約90%が再び陽性となり、陽性となる時期が画像診断などより中央値で約1ヶ月早い。
(5)NSEとの相関が少なくコンビネーションアッセイで感度を上げることができる。
しかし次の2点に注意する必要がある。ProGRPは、腎で代謝されるとされ腎不全での偽陽性例がある。また、頻度は少ないが肺良性疾患でも偽陽性例がある。

高値疾患: 肺小細胞癌、腎不全、肺炎

測定方法: CLEIA法(平成22年4月1日より)
       
ELISA法(平成18年6月27日より平成22年3月31日まで)
        EIA法(平成18年6月26日まで)
       

測定機器: ルミパルスL2400(平成29年5月8日より)
       
ルミパルスプレストU(富士レビオ株式会社)(平成24年12月14日より平成29年5月2日まで)
        エルジアF-750(平成18年6月26日まで)

測定試薬 ルミパルスプレスト ProGRP(平成24年12月14日より)
        イムチェック・F-ProGRP(国際試薬)(平成18年6月26日まで)

基準範囲: 血漿 81 pg/mL 未満(平成23年10月3日より)

       (血漿)70未満(参考値)(pg/mL)※1、(血清)46.0未満(pg/mL)※2(平成22年6月21日より平成23年9月30日まで)

      
※1:血漿の基準値(カットオフ値)について
        血漿の基準値は、ProGRP研究会の資料から、70pg/mLを設定いたしますが、現在、大規模な臨床試験が進められており、遅くとも2010年度末までには採血条件やカットオフ値の再設定につき結論が出される予定であることから参考値とさせていただきます。

       ※2:血清の採取条件について
      
本項目の血清の基準値設定の際の標準的採取条件は、「採血後、10時間以内に遠心分離(室温あるいは4℃)された血清検体で、採血当日または翌日測定の場合は4℃保存、それ以上の日数の場合は-20℃以下で保存されたもの」です。なお、血清を採血後3時間以内に凍結保存した検体は、現時点においては血漿の基準値(カットオフ値)を参考にしてください。
 
      
46 pg/mL 未満(平成22年6月18日まで)


相関:
平成29年5月8日
X=旧機器
Y=新機器
Y=0.996X-1.29 r=1.000  n=104


平成24年12月14日
 

平成22年4月1日



採取容器:(紫)EDTA-2K入り試験管 
            
(容器の変更:平成22年4月1日より)

理由:
保存安定比較


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