DNAポリメラーゼ, DNA-P(DNA polymerase)


測定法: RA法

外注会社:SRL

臨床的意義
 HBVは約3,200塩基対の二本鎖環状 DNAウイルスであるが,その遺伝子DNA は,(+)鎖のうち15〜50%の部分を欠き,一部が一本鎖からなるDNAとしてウイ ルス粒子中に存在する。この(+)鎖末端にDNAポリメラーゼが存在し,一本鎖の 部分を修復・伸長し,完全な二本鎖DNAにすると考えられている。HBVはS,C,P,Xの各蛋白をコードする4つの遺伝子をもっているが,このうちのP遺伝子のコードする蛋白の一部がDNA-ポリメラーゼ(DNA-P)活性を保有する。意義として,急性B型肝炎ではHBウイルスの増殖の旺盛である潜伏期から,病初期にかけて検出され,HBe抗原の消失に先行し検出されなくなる。またB型肝炎ウイルスキャリアーでの急性憎悪では,トランスアミナーゼの上昇に先行してポリメラーゼ活性が上昇し,またトランスアミナーゼの改善に先行し,低下あるいは検出されなくなる。最近見いだされたHBVのpre-C変異株はHBe抗原を作らないため,この変異ウイルスの量はHBe抗原では測定できないことになる。DNA-P活性はこの変異 ウイルスも測定できる点で優れている。DNA-P活性とHBV-DNA量はよく相関しほぼ同等の結果を得ている。よってDNA-Pの存在は,完全なHBVの存在を意味し血中HBV量を反映する ことから,ウイルスの増殖を反映する指標としては,単独でも血中に検出される HBe抗原より特異性が高い。したがって肝炎経過中のウイルス量の評価,インターフェロン等の抗ウイルス剤の投与の指標となり,効果判定および経過観察に有用である。

異常値を示す疾患
高値疾患: B型慢性肝炎 ・B型慢性肝炎(HBe抗原陰性) ・B型肝炎感染初期↑・B型慢性肝炎活動期(肝炎増悪前から増悪時に かけて)↑

基準値: 30cpm未満

検体採取・測定条件
・検体汚染を防止するため検体 の取り扱いには十分注意する。
・細菌の混入した試料では,非特異反応が起こる場合がある。

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

GPT
HBs抗原
HBe抗原
HBV-DNA アッセイ

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