単純ヘルペスウイルス, HSV(herpes simplex virus)


測定法: CF,NT, EIA, FA法(抗体検査)
      
外注会社:SRL

臨床的意義
 
単純ヘルペスウイルスは,DNAウイルスで,1型(HSV-1)と2型( HSV-2)の2亜型に分けられている。HSVの特徴は,初感染後体内に持続感染(潜伏感染) することである。初感染の 多くは不顕性感染で,顕性,不顕性を問わず初感染後は三叉神経節, 仙骨神経節に潜伏感染し,疲労,妊娠,怪我,熱性疾患その他の原因によって ウイルスが再活性化されると,口唇周辺や陰部など特定の皮膚部位に水疱を生じる( 回帰性ヘルペス)。HSV 感染症の診断法には,ウイルスやウイルス抗原を直接証明する抗原 検査と血清抗体の上昇によって診断する血清検査とがある。抗原検出法は,ウイルス 分離をはじめ,病変部より得た細胞にHSV抗原を蛍光抗体法(FA)を用いて証明したり,モ ノクロ抗体を用いたシェル・バイアル法がありこの方法は特異性が高い。また遺伝子 検査としてin situハイブリダイゼーション,PCRなどによる方法があり,ヘルペ ス脳炎,新生児ヘルペス感染症などの早期治療により救命率を上げることが期待されて いる。抗HSV抗体の測定法として,EIA法は感度が高くまたIgG,IgM抗体の分別測定も可能であ るが,特異性は劣る。中和法はEIA法に比べ感度的には落ちるが特異性は高い。また中枢神経疾患の場 合EIA法のIgG補促法が有用であり,その特性から目的に応じて使い分けられる。以上から血 清学的検査は,主として初感染の診断に有用であるが,中枢神経感染の診断や感染HSVの型別推定にも応用されている。

適応疾患
 口唇ヘルペス ・ ヘルペス性角結膜炎 ・ ヘルペス性食道炎 ・ 肝炎 ・ 性器ヘルペス ・ 脳炎,脊髄炎,神経炎 ・新生児ヘルペス ・ 流産,死産,奇形

検査法・基準値

検査方法 検査材料 基準値
抗体検査 CF・NT(1,2型)・FA(IgG,IgM) 血清 4倍未満
髄液 1倍未満
EIA(1型IgG,1型IgM) 血清 陰性
髄液 陰性
EIA(1型IgG補促法) 髄液


平成16年7月5日よりEIA法マニュアルよりBEPV法に変更

単純ヘルペスウィルス IgM (EIA)  単純ヘルペスウィルス IgG (EIA) 
 

EIA[新法(BEPV)]
(C.O.I) 

 
 

 

 
EIA〔現法(マニュアル)〕(C.O.I) EIA[新法(BEPV)]
(C.O.I)
 

 

 
EIA〔現法(マニュアル)〕(C.O.I)
± ±
0.8> 0.8〜1.2 1.21≦ 2.0> 2.0〜3.9 4.0≦
(−)   0.8>   9     (−)   2.0>   20 1  
(±)     0.8〜1.2   3 14 2 (±)     2.0〜3.9   1 5 1
(+)     1.21≦     1 71 (+)     4.0 ≦     72
(n=100) (n=100)
一致率: 94% 一致率: 97%




採取容器:
茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

水痘・帯状ヘルプスウイルス
エンテロウイルス
アデノウイルス

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