HIV-1,2, human immuno deficiency virus Type-1,Type-2 

臨床的意義
 ヒト感染性HIVは、2本鎖RNAウイルスで、遺伝子の差により1型と2型がある。プロウイルスDNAは5´側キャップ構造と3´側ポリA構造との間に、型により配置は違うが、gag、pol、vif、vpr、env、tat、rev、nef、vpu(1型)、vpx(2型)遺伝子があり、約10,000の塩基配列はすべて解明されており、相同性は約50%である。1型には10種、2型には6種のサブタイプがある。直径約100nmのHIV粒子の外被膜にはenv産物の2種の糖蛋白質(HIV-1 : gp120、gp41/HIV-2 : gp125、gp36)があり、内側にはgag産物の基本骨格蛋白質(HIV-1 : p17/HIV-2 : p16)や、コア蛋白質(HIV-1 : p24/HIV-2 : p26)があり、その中にRNAとRT(HIV-1 : p66/HIV-2 : p68)およびIN(HIV-1 : p32/HIV-2 : p34)の複合体が2分子含まれている。血液、精液、膣分泌液、唾液、乳汁中のHIVのgp120/gp125がTH/I(T4)リンパ球、単球やマクロファージ(Mφ ; 肺胞Mφ、脳ミクログリア、皮膚ランゲルハンス細胞)の細胞膜のCD4抗原V1ドメインに結合すると、細胞膜のCXCR4(TH/Iリンパ球)/CCR-5(単球・マクロファージ)と複合体ができ、gp41が膜を貫通してHIVは細胞質内に侵入する。細胞質内では、自身のRTにより2本鎖DNAとなって宿主の核内に入り、自身のINにより宿主DNAに組み込まれてプロウイルスDNAとして存在し、宿主の転写酵素によりmRNAになり、それにより合成された調節・構造蛋白質とゲノムRNAとからウイルス粒子ができて細胞外へ放出される。このような機構によりHIVは複製され続ける。HIV-1感染初期には、一過性にHIV・p24抗原血症とTH/Iリンパ球数の減少が起きるが、まだ抗体が産生されず、抗体検査では感染と診断できないため、この期間をウインドウ期と呼ぶ。4〜8週後に中和抗体が産生され、細胞性免疫能も働いてHIV量は減少し、その後約10年(母子感染児では2〜3年)は無症候性キャリアー(AC)になるが、HIVのライフサイクルは平均2.6日で、10.3×109コピー/日で増殖しており、血中には約1010個が存在し、ほぼ同数が免疫担当細胞により除去され、半減期は0.3日である。HIVは、増殖するたびに高頻度(1回の複製で5〜10変異)で変異が起こり、その箇所は酵素活性に必要な部位なので薬剤耐性になるが、増殖能も低下する。薬剤耐性の変異株に完全に置き換わるのは約2週間で、変異HIVは感染初期には106種、末期には108種が存在している。TH/Iリンパ球は、109個/日の率で再生され、ほぼ、同じ率で破壊される。血中の感染TH/Iリンパ球の比率は約0.01〜1%で、寿命は約2.2日である。半減期はほとんどが1.6日で、一部が1〜4週である。TH/Iリンパ球が再生されるたびに、プロウイルスも産生されるので再生機能も徐々に破綻し、持続性全身性リンパ節腫脹、TH/Iリンパ球数の著減や、抗p24抗体の低下その他の複合免疫不全と、高濃度のHIV血症を伴うエイズ関連症候群(ARC)、ついで種々の指標疾患(日和見感染症その他)を伴うエイズ(AIDS)へと進み2、3年のうちに死に至る。HIV-2感染の場合には、初期症状はHIV-1感染と同じであるが、その後のAC期が非常に長く進行が遅いことが特徴で、細胞および血漿中のHIV量が少ないことも一因と考えられている。検査の目的は感染・病期診断、経過観察・治療、予後・予防(垂直感染など)診断のために行う。感染の診断は、アルゴリズムに従って行うと交差反応性や、ウインドウ期による誤診を避けられる。病期の診断には、血漿HIV RNA定量、血漿TH/Iリンパ球数検査や指標疾患の診断に必要な諸検査を行う。治療薬の選択や予後・予防診断には、血漿HIV RNA定量、薬剤耐性変異遺伝子の検出が必要である。

測定方法: 化学発光酵素免疫測定法(平成17年11月16日より) 
               蛍光酵素免疫測定法


測定機器: ルミパルスL2400(平成29年5月8日より)
       
ルミパルスプレスト(平成21年10月19日より平成29年5月2日まで)
     
ルミパルスf(富士レビオ株)(平成17年11月16日より平成21年10月16日まで)
        VIDAS(日本ビオメリュー株)

測定試薬: ルミパルス プレストHIV Ag/Ab (4th)富士レビオ株式会社):ルーチン(平成24年12月14日から)
       ルミパルス HIV Ag/Ab (4th)富士レビオ株式会社):
夜間休日(平成24年12月14日から)
        
オーソHIV-1/2 (3th)(富士レビオ株式会社):ルーチン(平成24年12月13日まで)
                 
ルミパルス オーソHIV-1/2 (2th)(富士レビオ株式会社):夜間休日(平成24年12月13日まで)        
       
バイダスアッセイキットHIVデュオ

基準範囲 : 1.0未満 C.O.I

(平成17年11月15日まで)      

0.25 TV未満 陰性
0.25〜0.35 TV 判定保留
0.35 TV以上 陽性




従来法との一致率
(平成19年5月8日)

PrestoU(C.O.I.)
陽性 陰性 total
L2400
(C.O.I.)
陽性 2 0 2
陰性 0 98 98
total 2 98 100
一致率100.0%(100/100)


ルミパルス PRESTO(従来試薬との一致率:特異性試験)(平成24年12月14日)
 

ルミパルス S(従来試薬との一致率:特異性試験)(平成24年12月14日)
 


採取容器:
茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

TH/Iリンパ球
IgG
IgA
β2−m
ネオプテリン

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