ヒトパルボウイルスB19, human parvovirus B19 


測定法: ウエスタンブロット法

外注会社:BML

臨床的意義
 
パルボウイルスB19は伝染性紅斑(リンゴほっぺ病)の起因ウイルスとして、1983年に初めて明からにされて以来、慢性骨髄不全や胎児死(流)産まで幅広い疾患の原因となっていることが明らかにされつつある。ほとんどのヒトの場合、パルボウイルスB19感染の約1週間後に軽度のウイルス血症が起こり、7〜10日間続き、それに伴って種々の軽い症状(発熱、頭痛、悪寒、咽頭痛やかゆみなど)があり、ほとんど症状を伴わない赤血球形成不全も起こす。B19は赤芽球前駆細胞をターゲットとしており、赤血球の正常な産生に支障を生じる。高度の赤血球産生状態、あるいは赤血球の破壊が増加状態にある患者(球状赤血球症などの慢性溶血性貧血症の患者)では、一過性のaplastic crisis(AC、重症の溶血性貧血を主症状とする)を起こすことが報告されている。免疫抑制状態にある患者(遺伝的免疫不全者、化学療法中の急性リンパ性白血病患者やAIDS患者など)への感染ではウイルス血症は長期間つづき、重度の貧血、さらには生命をおびやかす場合もあるとされている。パルボウイルスB19に対するIgM抗体は感染後、約2週間で高値を示す。伝染性紅斑、成人のインフルエンザ様症状や関節炎などの症状はIgG抗体が産生され始める18〜24日頃から現れる。軽い症状のヒトでは自覚症状なしに過ぎる。B19に対するIgM抗体とB19のDNAの両方の存在は、臨床症状の有無にかかわらずB19の感染を証明することになる。感染様式はまだ明確になっていないようであるが、ヒトからヒトへ伝播し、家族内感染がしばしば認められる。パルボウイルスB19の感染は通常飛沫による経鼻感染と考えられ、輸血、血漿製剤の注射による経路もあると報告されている。わが国の伝染性紅斑の流行は、およそ6年周期で、1定点あたりの年間平均患者数が記録上一番多いのは、1987年で38.50となってる。好発年齢は小中学生から幼稚園児が中心となっている。流行する季節は春を中心としており、11月から7〜8月までみられる。妊婦の感染に関しては、わが国では未だまとまったデータはないが、パルボウイルスB19による胎児障害の報告例がある。

基準値: 陰性

採取容器:
茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

EPO
エンテロウイルス
アデノウイルス
β2-M
フェリチン

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