ムンプスウイルスIgG, Mumps virus IgG

臨床的意義
 ムンプス(おたふくかぜ)は、耳下腺腫脹を主症状とする小児期の比較的軽度なウイルス感染症である。ウイルス感染者の約1/3は無症状で終わる不顕性感染となるが髄膜炎、睾丸炎、卵巣炎、膵炎、腎炎などの合併症を併発することがあり、またきわめてまれであるが、感音性難聴、ムンプス脳炎を併発することが知られている。アメリカではムンプスウイルスワクチンの開発が1960年代より行われ、1970年以降ムンプスは急速に減少しつつある。我が国では独自に開発されたムンプスウイルスワクチンが、1981年2月より任意接種として実施され、1989年4月からは麻疹(measles)、おたふくかぜ(mumps)、風疹(rubella)の混合ワクチン(MMRワクチン)として定期接種に組み入れられた。しかしながら、予想をはるかに越えるムンプスウイルスワクチンに起因する無菌性髄膜炎が報告されたため、MMRワクチンの接種は事実上中止されている。耳下腺腫脹を伴う典型的ムンプスの場合には、臨床診断は比較的容易であり、ウイルス分離や血清診断を行うことは少なかった。しかしコクサッキー、パラインフルエンザ1および3型などのウイルス感染、あるいは化膿性耳下腺炎、顎下リンパ節炎、アレルギー性反復性耳下腺炎でも耳下腺腫脹が認められることがあるので注意を要する。耳下腺腫脹を伴わない無菌性髄膜炎や睾丸炎または難聴などの病因としてムンプスウイルスが疑われる場合には、血清診断が重要となる。また、ムンプスウイルスワクチン接種後の髄膜炎の起因ウイルスの同定には、ウイルス分離が望まれる。

測定方法: 蛍光酵素免疫測定法

測定原理:

測定機器: VIDAS

測定試薬: バイダスアッセイキットMumps IgG定性 

基準範囲       

0.35 TV未満 陰性
0.35〜0.50 TV 判定保留
0.50 TV以上 陽性

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

AMY
RSウイルス
単純ヘルペスウイルス
日本脳炎ウイルス
インフルエンザウイルス
エンテロウイルス

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