シクロスポリン(CYA)
検査部 薬剤部(平成20年8月31日まで)
臨床的意義
シクロスポリンは、Tolypocladium inflatum Gamsの培養液中から得られた11個のアミノ酸からなるポリペプチドであり、強力な免疫作用を有するため、1978年以来、腎移植をはじめとする臓器移植における拒否反応防止薬として広く使用されている。また、Bechet病、再生不良性貧血、ネフローゼなど種々の自己免疫疾患に対してもその適用を拡大している。しかし、シクロスポリンの体内動態は個体間のみならず個体内においても大きく変動する。さらに、治療有効濃度域が狭いため、重篤な副作用である腎障害や肝障害などを発現することなく十分な免疫抑制効果を得るには、血中濃度モニタリングが必要不可欠である。しかし、現在なお確固たる定量方法が確立されていないため、シクロスポリン未変化体に非特異的な定量法と特異的な定量法を用いた報告が混在している。加えて、特異的定量法においても近年、交叉反応性の違いが問題視されており、測定値の判断において複雑な要因を抱えている。
測定法: 酵素免疫測定法
単位:ng/mL
測定試薬:フレックスカートリッジ シクロスポリン CSA(シーメンスメディカルソリューションズ・ダイアグノスティックス(株))
測定機器:Dimension EXL 200(シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス株式会社)(平成29年5月8日より)
Dimension Xpand Plus-HM(シーメンスメディカルソリューションズ・ダイアグノスティックス(株))(平成29年5月2日まで)
従来法との相関
平成29年5月8日
X=旧機器
Y=新機器
Y=0.96X+8.7 r=0.9921 n=105
平成20年9月1日
注:従来法に比べ1割程度低値となります。
採取容器:紫(EDTA入り)2ml用