クロナゼパム(CZP)


測定法: 外注:HPLC法(平成12年9月25日より変更、以前はGLC法)

外注会社:SRL

臨床的意義
 benzodiazepine(BDP)系薬物は、抗不安作用、催眠作用、抗けいれん作用および筋弛緩作用をもち、今日の医療で最も繁用されている薬物の一つである。クロナゼパム(CZP)は抗けいれん作用が強く、てんかん治療薬として用いられる。CZPは脂溶性の塩基性薬物であり、消化管からの吸収が良好かつ速やかで、脳内移行性もよく、肝臓でそのほとんどが代謝される。CZPはほぼ半量かあるいはそれ以上が代謝され7-アミノ体となるが、この主代謝物の活性はほとんどない。てんかんは慢性の疾患で、薬物療法が長期に及び、しかも発作の抑制が十分でない難治な症例では多剤投与が行われる。よって、患者のquality of lifeを守るために薬物血中濃度モニタリング(TDM)が実施されている。TDMが行われる条件として、@血中濃度と薬効との間にある程度のよい相関があること、A血中の有効治療濃度域が明らかにされていること、B血中濃度の有効域と中毒域とが近接し、安全域が狭いこと、C簡便な測定法が存在すること、があげられる。しかし、BDP系薬物の場合には、血中濃度と臨床効果との関係がいま一つ明らかになっていない。これは、血液内と脳内の濃度比が必ずしも一定でないことと、脳内濃度よりもむしろ脳内薬物レセプター密度や親和性が薬効と相関を示すためで、ことに高齢者では受容体の感受性に変化がみられるためと考えられている。BDP系薬物およびその活性代謝物の測定は、一般的に高速液体クロマトグラフィが用いられる。しかし、phenytoin(PHT)など他の抗てんかん薬と比べて、低濃度なことと物理化学的性質(他の薬物は酸性物質が多い)が異なるために、他の抗てんかん薬との同時抽出や同時測定が難しい。このように、BDP系薬物はTDMを行う諸条件を満たしていない。ただ、BDP系薬物は安全性の高い薬物であるが、急性中毒時には、眠気、嗜眠、昏睡、運動失調など中枢神経系の抑制がみられ、服用量によっては遷延昏睡、低血圧、呼吸抑制、低体温も出現し、老齢者では深い昏睡が数日間続くこともある。こうした場合の予後判定に、TDMが有用である。BDP系薬物のTDMの目的としては、@投与薬物の無効時の原因判定、A再発作発現時の原因判定、B副作用発現時の原因判定、Cコンプライアンスの判定、D投与量や投与薬物変更後の効果の判定、E急性中毒時の予後の判定、などがあげられる。CZPは、小発作(ミオクロヌス発作、失立発作、点頭てんかんなど)、精神運動発作、自律神経発作などに効果を発揮する抗てんかん薬として用いられる。

副作用・中毒症状
眠気、嗜眠、昏睡、運動失調、低血圧

変動要因
併用薬(フェニトイン,フェノバルビタール,カルバマゼピン)↓

治療濃度範囲: 
25〜75 ng/ml (平成12年9月25日より変更以前:20〜70 ng/ml)

検体採取条件
採血時間 次回投与直前(トラフ濃度)ピーク到達時間:1〜2h

半減期(h)
30〜50h

注意事項
製品名,薬剤名等:
リボトリール,ランドセン 

先頭に戻る    前ページに戻る