生化学・免疫血清検査室
人体から採取した試料を用いて、病気の診断や治療を行うために必要な情報(検査項目)を、いろいろな分析法を用いて、定性(+、−)ないし定量(連続する数値)分析しています。人体から採取した検体(試料)としては、主として血液、尿が用いられ、その他必要に応じて、髄液、胸水、腹水などが用いられます。血液検体としては、血液を凝固させてその凝固物を遠心分離により沈殿させて得られた液状成分である血清、血液を薬剤(抗凝固剤)により凝固させないようにした全血、血液を同様に凝固させないようして血液細胞成分を遠心分離により沈殿させて得られた液状成分である血漿の3種類があります。各々の検査目的に合わせて用いられます。血液中の酵素、電解質、蛋白質、脂質、ホルモン、微量元素などの生化学検査の検体には、血清や血漿が用いられます。梅毒検査、CRP、免疫グロブリン定量、肝炎ウイルス検査、感染症検査などの免疫血清検査では血清が用いられます。全血は生化学検査のうち血液ガス、血糖などで用いられます。
一般に血液の採血は早朝空腹時に行いますが、これは個人間変動を小さくし、食事の影響による測定誤差をなくすためです。検査項目によっては、日内リズムによって変動する項目、生活習慣(食事、飲酒、運動、喫煙など)によって変動する項目、年齢や性別によって変動する項目がありますので、担当医とよく相談して検査結果を判断して下さい。
尿検体としては、朝起床時に採取した早朝尿、任意の時間に採取した随時尿、24時間に腎臓で生成された尿の全量を蓄尿した24時間尿があります。さらに、常在菌の混入する排尿前半の尿を捨てて中間から後半に排尿した尿を採取したものを中間尿と言います。血液と同様に、各々の検査目的に合わせて用いられます。
検査室では、前述の検体をいろいろな分析法を用いて検査結果を測定しています。得られた検査結果は、その信頼性を確保するために、検査結果管理用検体の測定、統計手法を利用した精度管理(検査結果が正しく測定されているかのチェック)、標準物質の測定、地域あるいは全国の各検査施設との間で同一検体を測定して比較(精度管理調査)するなどにより、測定精度の維持と測定結果の施設間差縮小に日々努力しています。
基準範囲とは、性、年齢、生活習慣を同じくする集団から得られた定量的計測値の分布から、中央値を含む95%の個体が含まれる範囲を定義します。各個人は、自分と同じないしほぼ同じ集団から得られた全結果の中の95%の人が含まれる範囲と比較することになります。したがって、正常か異常かを区別する範囲(正常範囲)でないことに注意して下さい。結果の解釈は、担当医にご相談下さい。当検査室で使用している基準範囲には、当大学鹿田地区職員を集団として求めた項目と文献から引用した項目があります。
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