岡山大学 法学部

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岡山大学大学院社会文化科学研究科 国際シンポジウム(法学系)

岡山大学大学院社会文化科学研究科 国際シンポジウム(法学系)

<現代の権力論と人権>
日時:2010年2月13日(土)14:00~
場所:岡山大学法学部会議室(2号館2階)
第1部 中国における権力と人権
 「経済的・社会的権利――普遍的な実践および中国の問題」
報告者:劉 紅臻(吉林大学法学部)
第2部 EUにおける権力と人権
 「ヨーロッパにおける基本権の保護――EUの欧州人権条約への加盟」
 報告者:パトリック ドラ(ストラスブール政治学院)
第3部 日本における権力と人権
 「わが国の法的思惟批判のための覚書――「社会的権力と人権」を素材にして」
 報告者:吾妻 聡(岡山大学大学院社会文化科学研究科)

複雑化した現代社会において、個人の人権は国家のみならず、私的団体たる企業やさらには国家を超える共同体によっても脅かされる危険にさらされています。このような今日の多様化した権力を前にして、伝統的な人権論はいまなお有効な解答を与えられるのでしょうか、それとも、あらたな理論枠組みを必要とするのでしょうか。本シンポジウムでは、中国・EU・日本の各々の観点から問題状況と理論動向を報告してもらい、上記問題についての議論を深める機会を持ちました。

まず劉報告では、社会主義国中国において経済的・社会的権利がどのような発展を遂げてきたか、それを具体化するためにどのような措置が講じられるべきかが、さまざまな例とともに報告されました。

続くドラ報告では、2009年12月に発効したリスボン条約によって加盟国のみならずEUそれじたいが欧州人権条約に加盟したこと、これにより欧州の人権保護システムが変容するのではないかとの問題提起とそれに対する展望が示されました。

最後の吾妻報告では、社会的権力からの人権保護の問題について、現代の法理論および人権論がどのような可能性を有しているのかが、ロベルト・アンガーの所説を手がかりに示されました。

本シンポジウムには、さまざまな専門分野から多くの方々が参加され、報告に熱心に耳を傾けるとともに、報告後には活発な質疑応答が行われました。各国の問題状況に即した形理論枠組みの違いはたいへん興味深く、国際的な学術交流の意義をあらためて確認できたシンポジウムとなりました。