谷 聖美 （1949年生まれ）
法学部教授（大学院法学研究科公共政策専攻、文化科学研究科人間社会文化学専攻）
専門分野 政治学
所属学会 日本政治学会、日本選挙学会、日本行政学会、比較政治学会、公共政策学会、 Assciation
for Asian Studies, American Political Association
１ 研究活動（1999年1 月−2001年12月）
・・・二〇〇二年度以降については、履歴と業績一覧をご覧下さい。
（１）研究活動
この間の研究は、大きく分けて二つのカテゴリーに分類できる。一つは、日本の政党政治・議会政治に関するもので、論文１，３，５，６がこれに相当し、「その他」のなかでは、１，４，５がこれに関連している。私は、この十数年、日本の戦後政治を政党政治の変容という観点から研究してきたが、この３，４年は、政党政治の病理現象や政党活動の基礎となる議会政治の問題点にも目を向け、政治不信の増大や議会の機能面での弱点について論文を執筆した。このうち、５の論文は、政治不信に関する日米共同プロジェクトに参加するなかから生まれたものである。同プロジェクトは、両国の研究者約１０名によって現在も継続中であり、将来的には国際的な比較研究に発展させることがめざされている。
もうひとつのカテゴリーは、ここ数年取り組んできた日本の住宅政策の研究で、論文２と４がこれに相当する。２では神戸市における住宅問題の変遷とそれに対する政策的対応を明治にまでさかのぼってあとづけた。この研究を一部もとにして、４では戦後日本の住宅政策の変遷を新制度論的アプローチによって分析した。
今後の課題としては、以前に行った研究と合わせて、これらの成果をモノグラフにまとめることがあげられる。そして、そこにおいては、先進各国の政党政治や住宅政策との比較という視点をより強く押し出して、研究に立体感を出すことをめざしたい。
（研究内容）
a)著書：なし
b)論文
１ 「議会活動に対するサポート体制強化に向けて」 単著 『世界と議会』（１９９８年 ６月号、Ａ５−６頁）
２ 「自治体住宅政策の史的展開：神戸市の場合」 単著 『岡山大学法学会雑誌』第４８ 巻３・４号（１９９９年３月、Ａ５−５２頁）
３ 「政治資金からみた政治家の地域活動体制」 単著 佐々木毅編著『政治資金』（朝日 新聞社、１９９９年５月、Ａ５−１３頁）
４ 「住宅政策の促進要因と抑制要因：制度と政策演出機能を中心に」 単著 水口憲人ほ か編著『変化をどう説明するか』第３巻（木鐸社、2000年1月、Ａ５−２６頁）
５ "Some Aspects of Declining Trust
in the Government in Japan," Okayama
Law Journal, Vol. 50, No. 1 (2000,
A5-23 pages)
６ 「政治不信に関する若干の考察：出生コーホートによる分析を中心として」岡山大学法 学会編『世紀転換期の法と政治』（有斐閣、２００１年１１月、Ａ５−２３頁）
c)その他
１ 『政党間競争と野党の政策活動』（平成１０−１１年度文部省科学研究費補助金研究成 果報告書、２０００年３月、Ａ４版、７７頁）
２ 内田満編『現代日本政治小辞典』（ブレーン出版、１９９９年、１８項目執筆）
３ 猪口孝ほか編『政治学事典』（弘文堂、２０００年、１項目執筆）
４ 書評：東大法・蒲島郁男ゼミ編『「新党」全記録』全３巻 『週間読書人』 １９９９ 年４月
５ 書評論文：中北浩爾『経済復興と戦後政治』 『レヴァイアサン』１９９９年春号
６ 「分権時代の幕開けと選挙」 山陽新聞（１９９９年４月６日）
７ 「政治回帰・ネットが効果」 山陽新聞（２０００年６月２１日）
（３）学会報告
日本選挙学会１９９９年５月（於秋田経済法科大学）会分科会司会者
日本政治学会１９９９年１０月（於青山学院大学）分科会司会者
日本選挙学会２０００年５月（於学習院大学）共通論題司会者
（４）研究環境の整備
１９９９年度文部省科学研究費基盤研究Ｃ（研究課題「政党間競争と野党の政策活動」、前 年度からの継続）
２００１年度文部省科学研究費基盤研究Ｃ（研究課題「小選挙区制導入後の政党間競争と政 党システムの変化」）
（５）学会役員
日本選挙学会理事
（６）その他
合衆国ミシガン大学国際研究所主催の政治不信研究会に参加、活動した（２０００年〜２０ ０１年）
2 教育活動
（１）概要
この間、学部教育では、１年次生向け（２部では２年次生向け）に政治過程論を開講し、主として現代日本政治の概要と政治学の基礎的分析概念について講義した。３・４年次生向け（２部では３・４・５年次生向け）の政治過程論特殊講義においては、政策展開の場となる国家と政府の基礎理論を講じた後、戦間期以来の国家機能膨張と、８０年代以降それに対して起こった反動について説明し、今日における新自由主義と新社会民主主義の対立についてより深い理解を得られるよう工夫した。
法学研究科では、政治過程論系統の講義で各国が直面する政策課題やイデオロギー的対立に関して種々の文献を講読しながら議論を深め、現代政治分析系統の講義で政党政治や階層と政党支持の関係などについて、これも種々の文献を講読しながら分析してきた。文化科学研究科の講義は、法学研究科における講義をさらに発展させたものである。
（２）授業担当
a) 学部
１９９９年度 政治過程論 政治過程論特殊講義 政治過程論演習 法学基礎演習
２０００年度 政治過程論 政治過程論特殊講義 政治過程論演習 法学基礎演
２００１年度 政治過程論（受講者２３０人） 政治過程論特殊講義（受講者９０人） 政治過程論演習（受講者２９人） 法学基礎演習（受講者１５人）
b) ２部
１９９９年度 政治過程論 政治過程論特殊講義
２０００年度 政治過程論 政治過程論特殊講義
２００１年度 政治過程論演習（受講者１１人）
c) 法学研究科
１９９９年度 政治過程論演習 現代政治分析演習
２０００年度 政治過程論特論 現代政治分析特論
２００１年度 政治過程 現代政治分析
d) 文化科学研究科
１９９９年度 比較政治過程論 同演習
２０００年度 比較政治過程論 同演習
２００１年度 比較政治過程論 同演習
（３）指導院生
a) 法学研究科
１９９９年度 ３人
２０００年度 ４人
２００１年度 ４人
b) 文化科学研究科
いずれの年度も無し
（４）修士論文・博士論文の副査担当
１９９９年度 １件
２０００年度 なし
２００１年度 なし
３ 学内事務
（１）入試業務
１９９９年度 推薦入試 センター入試等本部詰め
２０００年度 推薦入試 センター入試等本部詰め
２００１年度 推薦入試 センター入試等本部詰め
（２）各種委員
a) 全学
１９９９年度 評議会 教務委員会 国際交流委員会
２０００年度 評議会 第２常置（入試）委員会 第４常置（研究）委員会 第５常置 （交流）委員会
２００１年度 評議会 第２常置（入試）委員会 第４常置（研究）委員会 第５常置 （交流）委員会
b) 学部内
１９９９年度 総務委員会 学務委員会 人事委員会
２０００年度 総務委員会 人事委員会 入試制度検討委員会
２００１年度 総務委員会 人事委員会 入試制度検討委員会
c) 文化科学研究科
１９９９年度 なし
２０００年度 構想検討委員会
２００１年度 構想検討委員会
（３）ワーキンググループなど
１９９９年度 評議会２１世紀の岡山大学構想ワーキンググループ
２００１年度 第５常置委員会国際交流ワーキンググループ
第２常置委員会入試ミス防止ワーキンググループ
第４常置委員会微生物等管理規則策定ワーキンググループ
４ 社会貢献
（１）学外審議会委員等
１９９９年度 岡山市地方自治・新時代に対応した行財政懇談会委員
２０００年度 日本学術振興会特別研究員等審査専門委員
２００１年度 日本学術振興会特別研究員等審査専門委員
（２）学会開催等：なし
（３）他大学非常勤講師
１９９９年度 倉敷芸術科学大学教養学部（民族問題担当２単位）
２０００年度 倉敷芸術科学大学教養学部（民族問題担当２単位）
２００１年度 岡山理科大学一般教養（政治学担当２単位）
（４）委託講師担当：なし
（５）その他
２０００年度 ６月衆議院選挙取材インタビュー（岡山放送、瀬戸内海放送、山陽新聞、 中国新聞、朝日新聞）、衆議院選挙特別番組出演・解説（岡山放送）
１０月岡山知事選挙特別番組出演・解説（岡山放送）
２００１年度 ６，７月参議院選挙取材インタビュー（岡山放送、瀬戸内海放送、山陽 新聞）
１１月議員・首長多選問題に関する取材インタビュー（朝日新聞）