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令和2年度 岡山大学医学部医学科学位記等授与式について

                      祝 辞

 岡山大学医学部医学科卒業生の皆さん,ご卒業おめでとうございます。
 また,ご家族におかれましてもこの晴れの日をどれだけ心待ちにされていたことかと存じます。心よりお祝い申し上げます。
 本来ならば卒業生全員に一人一人の顔をみながら直接学位記を手渡し,家族の方々にもご参列頂きたかったところですが,新型コロナウイルス感染症の拡大状況と4月からの皆さんの医療系機関等での勤務を鑑みて,参列できる卒業生だけで行う医学科学位記授与式とさせて頂きました。
 さて,他のどの学部よりもはるかにタイトなカリキュラムでの講義や実習を通して,あるいは課外活動などを通して,同期の学友,先輩後輩と苦楽を共にした6カ年の医学科の課程は,実に濃密で充実した期間であったことと思います。皆さんが修得できたものは何であったか考えてみて下さい。医学科が掲げている5つのディプロマポリシー,豊かな教養,専門性,情報力,行動力,そして自己実現力を涵養することができたでしょうか。医学は実学です。真理の探究を目指す他の自然科学とは異なる学問です。実学である医学をこの6カ年学んだことで,皆さんが間違いなく修得したといえるのは,「人々の健康と福祉と疾患克服を目指す姿勢」だと思います。この姿勢こそ皆さんの中に刻み込まれたDNAなのです。
 現在の医療界では,少子高齢化,医師の適正配置,専門医制度,研究医減少,バイオインフォーマティクスとAI,デジタルトランスフォーメーションの導入など様々な課題があり,それに加えてコロナ禍を機会にこれまでの常識や慣例が大きく見直され,これからの医学医療の世界は大きく変わると予想されます。まさしく皆さんがその諸問題に取り組む世代となるのです。学修はこれで終わりではありません。生涯にわたり自己研鑽を積み,是非とも人々の健康・福祉に貢献できる医療人,医学者になって頂きたいと思います。働き方改革の一環として医師個人のQOLを重視する風潮がありますが,昨年卒業生に申し上げたように,どうか「己を研き,他を慈しむ」医の志を大切にして下さい。
 皆さんは岡山大学医学部医学科同窓会すなわち鶴翔会会員です。岡山大学医学部は今年度2020年で150周年を迎えました。「地域に支えられ世界を目指す」岡山大学医学部の次の50年を築いていくのは皆さんの世代の活動です。
 今日,皆さんの手元に配ったのは岡山大学産科・婦人科学前教授,名誉教授で書家の平松祐司先生の書で,アメリカの詩人エラ・ウィーラー・ウィルコックスの詩の一節です。最後にこの言葉を届けたいと思います。
「吹いている風がまったく同じでも ある船は東へ行き ある船は西へ行く 進路を決めるのは風ではない 帆の向きである 人の行く手も海を吹く風に似ている 人生の航路でその行く末を決めるのは 凪でもなければ 嵐でもない 心の持ちかたである」
 皆さんの船出にあたり,これからが素晴らしい航海となることを祈念しまして,簡単ではありますが,私からの はなむけの言葉と致します。

2021年3月25日


                                   岡山大学医学部長  淺沼 幹人


  アメリカの詩人エラ・ウィーラー・ウィルコックスの詩の一節
  (名誉教授(産科・婦人科学 平松祐司先生書)