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文化人類学とは?

 文化人類学(Cultural Anthropology)は、地球上に生活するさまざまな人びとの文化や社会を比較の視点から研究する学問です。
 多くの場合、自分の生まれ育ったなじみ深い社会ではなく、自分とは異なった言語、価値観、生活習慣をもつ「異文化」で長期間にわたる調査をし、その文化の中に生きる人びとのものの見方をできるだけ深く理解しようと努めます。

 私たちがテレビ番組や、あるいは観光旅行などを通じて接する「異文化」は、奇妙で不可解に見えることもあるでしょう。でもそれは、私たちが自分たちにとっての「あたりまえ」にこだわっているせいかもしれません。

逆に、相手の視点に立って私たちの「あたりまえ」を見直してみると、今まで常識と思い込んでいたことに疑問がわいてきたりします。

 授業では、子どもの育て方、結婚のルール、コミュニケーションのとり方など、あらゆるトピックを題材としつつ、人間にとって社会とは何か、文化は人の生き方にどんな影響を及ぼすのか、といった問題を考えていきます。

岡山大学・文化人類学領域の特徴

 文化人類学領域では、とくに学部教育において、岡山を中心に地域社会にねざした学生指導を重視してきました。

 文学部で社会学と合同で実施している「実践演習」(2015年度入学生までは「行動科学実験・調査演習」)では、瀬戸内海の島嶼部や中国山地の山間部で現地調査を行い、その成果を地域社会に還元するための報告書を作成しています。学生が主体的に現場で人びとと関わりをもち、学んだことをきちんと整理して文章化する。その過程から、社会や文化をみる視点を養い、それを他者にきちんと伝える表現力の習得を目指しています。

 大学院では、さまざまな国からの留学生も含めて、日本や世界のフィールドで調査を行う大学院生たちがともに学ぶ場を大切にしています。少人数のゼミを通して、フィールドでの知見を持ち寄り、丁寧な議論を重ねながら、学位論文執筆に向けた実践的な教育を行っています。

教員紹介

中谷文美 - NAKATANI Ayami
大学院社会文化科学研究科・教授
(文学部人文学科・教授 兼担)

専門分野:文化人類学、ジェンダー論
研究領域:仕事の文化人類学、オランダ・インドネシアの「主婦」像をめぐる研究
主要著作:

  • 2003『「女の仕事」のエスノグラフィー:バリ島の布・儀礼・ジェンダー』京都:世界思想社。
  • 2014 ”Housewives' work / mothers' work? The changing position of housework in Dutch society,” Ochiai Emiko and Aoyama Kaoru eds., Asian women and intimate work, Leiden: Brill, pp.37-62.
  • 2015『オランダ流ワーク・ライフ・バランス―「人生のラッシュアワー」を生き抜く人々の技法』京都:世界思想社。

 インドネシアのバリとオランダで「仕事」とジェンダーに関するフィールド調査を重ねてきました。
 授業では文化人類学の視点と手法を生かしつつ、観光、仕事、ファッションなど幅広いトピックを取り上げています。

152.jpg調査地の一つ、オランダ・ライデンの街並み23.jpgバリ島の農村風景26.jpgブータンの台所

松村圭一郎 - MATSUMURA Keiichiro
大学院社会文化科学研究科・准教授
(文学部人文学科・准教授 兼担)

専門分野:文化人類学、経済人類学
研究領域:富の所有と分配、贈与と市場、アフリカへの開発援助と経済投資
主要著作:

  • 2008『所有と分配の人類学-エチオピア農村社会の土地と富をめぐる力学』京都:世界思想社。
  • 2012「対立を緩和する社会関係-ジンマ農村のムスリムとキリスト教徒」 石原美奈子編,『せめぎあう宗教と国家―エチオピア 神々の相克と共生』東京:風響社,359-386。
  • 2017『うしろめたさの人類学』ミシマ社。

 アフリカ農村社会のフィールドワークをとおして、富の所有と分配について研究してきました。最近は、エチオピアへの食糧援助や中東への出稼ぎなど、グローバルなモノと人の動きから富が偏在する世界のあり方を考えています。

photo1.jpg収穫したトウモロコシの分配(エチオピア西部)photo2.jpg海外からの食糧援助の配布(エチオピア北部)photo3.jpgオーソドクス教会の祭礼に集まるエチオピアの出稼ぎ女性たち(アラブ首長国連邦)

卒業論文題目例

  • 公園に集う人々のゆるやかな繋がり
  • 日本における着物の変遷と今後の発展について~韓国・中国の民族服との比較をふまえた考察
  • 音楽の身体性と日本人のかかわり~ライブハウスにおける戸惑いの身体とその可能性
  • ペット供養にみる現代日本
  • 祭りを支える人々~灘のけんか祭りを事例として
  • 本格焼酎醸造業の歴史と現在-薩摩半島北部の酒造業への聞き取りをもとに

文化人類学入門文献リスト

 これから文化人類学を学ぶ人が読んでおくとよい文献の一例を示します。これらの文献を入り口に、自分の興味関心を深めていってください。

  • 『よくわかる文化人類学』
    • 綾部恒雄・桑山敬己(編)、ミネルヴァ書房、2006年
  • 『メイキング文化人類学』
    • 太田好信・浜本満(編)、世界思想社、2005年
  • 『人類学のコモンセンス-文化人類学入門』
    • 浜本満・浜本まり子・太田好信、学術図書出版社、1994年
  • 『暮らしの中の文化人類学 平成版』
    • 波平恵美子、出窓社、1999年
  • 『フィールドワークへの挑戦-<実践>人類学入門』
    • 菅原和孝(編)、世界思想社、2006年
  • 『文化人類学入門 増補改訂版』
    • 祖父江孝男、中公新書、1995年
  • 『社会人類学入門:異民族の世界』
    • ジョイ・ヘンドリー、桑山敬己(訳)、法政大学出版局、2004年
  • 『文化人類学20の理論』
    • 綾部恒雄(編)、弘文堂、2006年
  • 『ジェンダー人類学を読む:地域別・テーマ別基本文献レヴュー』
    • 宇田川妙子・中谷文美共編、世界思想社、2006年
  • 『ブックガイドシリーズ 基本の30冊 文化人類学』
    • 松村圭一郎、人文書院、2011年