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 岡山大学文学部は、2016(平成28)年度にカリキュラム改変を行い、5つの専修コース制から8つの教育分野制に移行しました(2016年度入学生から対象)。2015(平成27)年度以前入学生は、従来のカリキュラムでの教育となり、以下に示した授業科目名とは異なりますので注意してください。2015年度以前入学生向けカリキュラム(専修コース制)

 岡山大学文学部人文学科の「地理学・社会学・文化人類学・社会文化学分野」では、分野内の学問領域の連携により教育を行っています。
 社会学領域、文化人類学領域では、アクティブ・ラーニングを重視した教育を行っています。とくに、2年次第3学期より開講される「実践演習」では、毎年岡山県を中心とした地域において、社会調査を実施しています。その内容は、数年に一度、報告書にまとめています。
 3年次からは「課題演習」で、各教員のゼミにおいて卒業論文の研究を進め、4年次に論文の執筆・提出をめざします。

各領域の紹介

 岡山大学社会学領域、文化人類学領域の特徴と、指導する教員の研究テーマ、卒業論文のタイトルなどを紹介しています。

社会学領域

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 社会学とは、「人と人とが織りなしてできる社会関係や事象を理論的・経験的に研究する学問」です。社会学の学びを通して、問題発見力・企画力・応用力・分析力を総合的に身につけます。

文化人類学領域

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 文化人類学は、地球上に生活するさまざまな人びとの文化や社会を比較の視点から研究する学問です。社会や文化をみる視点を養い、それを他者にきちんと伝える表現力の習得を目指します。

教育内容の特徴

 岡山大学文学部では、1年次より「人文学の基礎」「人文学の論点」「人文学入門演習」という3つの必修科目のほか、「人文学概説」など一部の専門科目を履修することができます。

 2年次からは各分野に所属し、「人文学概説」「人文学講義」などの専門科目を履修し、本格的に自分が学びたい領域についての基礎的な知識や方法論を身につけ、関心を絞っていきます。この段階での大きな特徴は、岡山大学文学部で2016年度から新たに取り組んでいる、「人文学講義」の内容と連動した「人文学インタラクティブ講義」です(年度により開講される領域、講義内容は異なる場合があります)。「人文学インタラクティブ講義」では、「人文学講義」の授業内容にくわえ、文献資料、映像資料を踏まえて自分の意見をまとめ、他の受講生や教員と共有するためのグループ・ディスカッションを行います。学問の基礎的知識をインプットするだけでなく、そうした知識を踏まえて自分なりの考えをアウトプットしていきながら、学問的な視点や現代社会をみる目を養います。

 2年次第3クォーターからの「実践演習」の授業は、社会学領域・文化人類学領域・社会文化学領域の3領域の教員の連携により行われます。「実践演習(社会調査)」では、調査の設計や質問紙の作成、統計データの分析、インタビュー法など、社会調査の実施にあたって必要な専門知識を学び、実際の調査計画の立案および事前の文献調査を行います。そして、3年次の「実践演習(フィールドワーク)」では、実際に地域社会に入ってフィールドワークを行い、そこで得られたデータの分析を踏まえ、報告書の作成に取り組みます。

 そして、3年次第3クォーター以降は「課題演習」という授業で、卒業論文作成に向けた指導がはじまります。3年次には主に4年生の研究発表を参考にしながら自分の研究テーマや問題意識を掘り下げていき、関連する文献や先行研究の収集・検討を行います。4年次には、先行研究の検討、調査計画の立案、調査の遂行、データの分析までの一連の作業を指導教員のアドバイスのもと進めていきます。複数回のゼミ論の提出を通して研究内容をブラッシュアップしていき、卒業論文の提出をめざします。ゼミはそれぞれの担当教員ごとに開講され、3年生・4年生合同の授業で行われますが、社会学領域では2人の教員による合同ゼミが行われることがあります。また、ゼミによっては別途、合宿や研究室旅行、フィールドワークがあります。

 いずれの授業においても、学生一人ひとりが事前学習や情報収集をおこない、自分自身の考えをまとめ、積極的・能動的に議論に参加し、活発な学修・研究活動に取り組むこと(=アクティブ・ラーニング)を大切にしています。
IMG_0159.JPG2年次の授業では、統計解析の手法を学びます。P3300435.JPGフィールドワーク先でのミーティング。見聞きしたことを全員で共有します。IMG_1118.JPG3年次の「実践演習」の授業。活発な議論が展開されます。主役は学生のみなさんです!

社会学・文化人類学関連の授業

 社会学領域および文化人類学領域のゼミで卒業論文を作成しようと考えている人は、社会学や文化人類学、隣接学問領域の授業をあらかじめいくつか受講していることが基礎条件となります。隔年開講の科目がありますので、履修時には注意してください。
 各年度の開講科目と実施内容については、文学部シラバスを参照してください。

社会調査(「実践演習」)

 社会学や文化人類学をはじめとした社会科学系の学問では、問題を考えるうえでの探究方法として、資料・文献の検討のほかに、観察者の直接的経験と発見による知識の獲得をめざす「社会調査」を行うことがあります。

IMG_9541.JPG地元の方からお話をうかがいます(岡山県日生諸島にて)。 「社会調査」というと、マスコミ等で頻繁に取り上げられているような「社会問題」をトピックとして、アンケート調査をすることによって問題点を明らかにするようなイメージがあるかもしれません。たしかに、国や地方自治体による調査や企業によるマーケティングリサーチなどの多くはアンケートが行われていますが、それは一面に過ぎません。社会には数字では表すことのできないものもたくさんあります。そのため、観察やインタビュー調査や実際に現場の活動に調査者自身が参加する「参与観察」も重要な社会調査の手法になります。

 社会学領域、文化人類学領域では、社会文化学領域とも合同して、所属する学生が、2年次第3クォーターから開講される「実践演習」の授業の一環として、瀬戸内海の島々や中国山地の農村部など、岡山県内を中心とした地域を対象に現地調査を行っています。

P1030535.JPGこれまでの社会調査実習の成果として刊行された報告書。 私たちにとって身近な地域社会には、そこに暮らす人々の日々たゆまぬ営みがあります。そして、地域社会を理解するには、まさに数字だけでは表すことのできないような、地域の人々の営みを理解することが不可欠です。そのためには実際に地域を「歩く・見る・聞く」ことが非常に重要になります。

 調査を通して地域の人々の具体的な営みや実情に触れることによって、マスコミ等でも取り上げられている「社会問題」が、一般的に語られているようなものとは違うような、別の問題として浮かび上がってくる場合もあり、問題解決への新たな糸口を得ることにもなります。また、これまで社会的に認知されていないような新たな問題を発見したり、一見無関係に見えるある問題と別の問題との関連が分かってくることもあります。それが社会調査を行うことの醍醐味です。みなさんも授業を通して、社会調査のおもしろさを感じるでしょう。

 これまで行った調査の概要については、リンク先をご覧ください。

卒業論文

 3年次第3クォーターからは、各教員のゼミである「課題演習」の授業が始まり、卒業論文の研究がスタートします。

IMG_0525.JPG卒論発表会の様子。4年生全員が卒論の概要を2年生・3年生の前で発表します。 3年次の授業では一足先に卒業論文の執筆にとりくむ4年生の発表を聞きながら、自分の研究テーマを少しずつ明確にしていきます。自分の研究テーマ・事例に直接かかわる論文や専門書だけでなく、分析に用いる理論的な文献など、幅広く先行研究を読み、その検討をおこない発表します。

 4年次には、先行研究の検討をおこないながら、研究テーマや問題関心を絞っていき、調査・分析をすすめます。その成果をゼミで発表し、学生や教員との議論を通して、さらに深めていきます。また、ゼミ論文の執筆を重ねていき、最終的には卒業論文の完成をめざします。

 同じゼミで学ぶ学生や教員との意見交換は、大学生活の集大成にふさわしい「一生の宝物」となるような卒業論文の完成にむけて、大いに刺激になることでしょう。

取得できる資格

 岡山大学文学部では、所定の授業科目を履修することにより、中学校教諭一種免許状(国語科、外国語科、社会科)高等学校教諭一種免許状(国語科、外国語科、地理歴史科、公民科)学芸員資格を取得することができます。
 学芸員資格の取得については、以下をご覧ください。

 また、地理学・社会学・文化人類学・社会文化学分野に所属し、所定の授業を履修すると、社会調査士資格を取得できます。社会調査士資格は一般社団法人社会調査協会が認定する資格であり、基本的な調査方法を学び、分析手法の妥当性、またその問題点を指摘することができると認められた者に対して与えられる、いわば「調査の専門家」としての資質を身につけていることを示す資格です。
 なお、大学在学中には、所定の授業を履修中であり、社会調査士の取得見込みがあることを示す、「社会調査士(キャンディデイト)」の資格が発行されます。大学3年時に申請すれば、就職活動においても活用することができます。
 社会調査資格の詳細および認定科目の詳細については、以下をご覧ください。

卒業後の進路

IMG_3387.JPG教員の退職記念パーティーにて。各地で活躍する卒業生たちが旧交を温めます。 社会学や文化人類学のカリキュラムを通して体得した研究方法や思考方法は、仕事や日々の生活など、社会とかかわっていくあらゆる場面で、さまざまな形で生かすことができます。

 これまでの卒業生は、一般企業(報道機関、出版社、広告代理店、銀行)のほか、国家公務員(国家総合職・一般職、国税専門官、財務専門官、労働基準監督官)、地方公務員(都道府県庁、東京特別区、市役所)、家庭裁判所調査官、学校教員(中学校、高等学校)、大学職員、研究機関などに就職し、国内のみならず世界各地で活躍しています。また、大学で学んだ専門的な知見をもとに、「地域おこし協力隊」として中山間地域で地域産業の復興に取り組んでいる人もいます。

 より高度な専門知識を学んだうえで社会で活躍したい人や、将来的に研究者をめざす人は、岡山大学大学院や他大学大学院(京都大学・神戸大学など)に進学しています。大学院への進学を考えている人は、早めに指導教員に申し出てください。
 なお、岡山大学の学部から岡山大学大学院に進学する場合、一定以上の成績要件を満たせば、成績優秀者として学部の推薦を受けることができ、入学試験で筆記試験が免除(口述試験のみ)となる制度もあります。