[授業科目] 工学倫理  Engineering Ethics
[授業科目の区分] 専門科目
[講義番号] 090007
[担当教官名] 竹島 尚仁(たけしま なおひと)
[所属] 工学部
[対象学生] 工学部機械工学科、電気電子工学科、システム工学科、通信ネットワーク工学科の3年次生
[学期] 前期
[曜日・時限] 月曜日 1・2時限
[講義室] 自然科学研究科棟2階大会議室(大講義室)
[選択・必修の別] 専門科目の必修(JABEEプログラム修了要件上必修)
[単位数] 2
[概略] 技術者が自然や社会に対してどのような責任を負っているかを理解するために、主として事故の事例を中心とするビデオを見てもらい、そこから事故を引き起こすさまざまな要因を発見し、そして技術者の責任とその範囲について理解を深めてもらう。
技術者はさまざまなファクターを考慮にいれながら、技術業にたずさわる。技術者はそもそも危険なものをなんとか安全に使えるようにしているのであるから、事故が生じる可能性はつねにゼロにはならない。技術者がなすべきことを怠るとき、事故が生じることは当然であるが、技術者の想定を超えたところでも事故は起こってしまう。
そこで技術者が技術業にたずさわるうえで、できるかぎりさまざまなファクターを想定し考慮に入れておかなくてはならない。そうしたファクターを過去の事故例などをつうじておさらいしておくことは、実際に実務に要求される適切な判断や対処をするのに役立つはずである。
[一般目標] 技術者として、自然や社会に対する責任とその範囲を理解する。そのため、技術の自然や社会への影響を理解することによって、技術者としての責任を自覚するとともに、どのような行為を自ら選択できるかを創造的に考えることをめざす。
[個別目標] 1.技術者という職業の特徴
2.工学の知識の特徴
3.他分野との連携
4.組織内の人間関係
5.研究開発者としての倫理
[受講要件]
[履修上の注意]
[授業内容] ビデオは適宜入れ替えることがある。
1回目 1.専門職としてのエンジニアリング
専門職、公衆
☆ビデオ:六本木ヒルズ回転ドア
2回目 2.技術者倫理規程
技術者の責務、技術倫理と技術者倫理
☆ビデオ:内視鏡医療事故
3回目 3.倫理問題の源泉とその解決法
☆ビデオ:アポロ13号
4回目 4.ものづくりの複雑さ
設計とその制約条件、コスト・ベネフィット、製品のライフサイクル
☆ビデオ:タコマ橋
5回目 5.事故と事故調査
原因究明と責任、失敗学
☆ビデオ:コメット
6回目 6.製造物の欠陥
製造物責任、不法行為、
7回目 7.安全とリスク
☆ビデオ:自動車事故ピント
8回目 8.国境を越えた活動
文化の多様性、法律の境界
☆ビデオ:ボパール
9回目 9.保守事故
メンテナンス
☆ビデオ:橋梁劣化、ジェットコースター
10.11回目 10.11.組織問題(1)(2)
企業風土(組織文化)、組織事故、危機管理、組織内コミュニケーション
☆ビデオ:スペースシャトル・チャレンジャー/コロンビア事故
12回目 12.公益通報
内部告発、守秘義務
☆ビデオ:内部告発人、治験内部告発、原発、JCO、
13回目 13.知的財産
知的財産、特許、著作権、産業スパイ
☆ビデオ:産業スパイ、阪大データ捏造、排気ガス処理装置
14回目 14.情報の改竄・捏造
論文捏造、データ改竄、表示偽装
☆ビデオ:クローン技術
15回目 15.レポート試験
「事故事例を一つ取り上げて、〔1〕その概要を書き、〔2〕それについて技術者として考慮すべき問題を抜き出しそれを分析しなさい。そして、〔3〕自らがその当事者であると想定しながら、どのような対策がなされるべきかについて多面的に論じなさい。」
[成績評価] 授業の内容について理解しているかを評価する。適宜、小レポートを書いてもらう。最終日のレポートが80%、小レポートが20%の配点である。
[関連科目]
[JABEE 基準] JABEE基準1の(b) 技術者倫理に対応する。
[アンケート] アンケートを行う場合がある。
[教材] 教科書: 齊藤・坂下編 『はじめての工学倫理』(第2版) 昭和堂
[相談時間]
[連絡先] 電子メール宛先: take01_98◎yahoo.co.jp
[備考] 研究活動との関連:
担当教員は工学倫理の研究を行っている。この講義は、担当教員の専門分野である工学倫理の基礎的知識を解説するものである。

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