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岡山大学農学部発ベンチャー

有限会社のぞみふぁーむ

のぞみふぁーむ

平成17年2月設立,資本金700万円
 〒701-1152 岡山市北区津高1545-11
 e-mail:rakuchinstrawberry@ybb.ne.jp
 代表取締役:吉田敦子
 取締役:吉田裕一(農学部・教授)

 香川型イチゴピート栽培システム‘らくちん’は,農学部教授吉田裕一が香川大学農学部在職中に,JA三木町,香川県,香川県経済連,香川県青果連,四国電力との共同研究の成果として開発したものです.同システムの改善,安定化を目的とした研究は,岡山大学転任後も継続して実施されており,生産者への栽培技術の指導・普及も行っています.

 同システムは急速に普及し,香川県では,平成17年10月現在で設置面積が45ha(全イチゴ栽培面積の約70%)に達していますが,岡山県では,わずか1.6 haにすぎず,中国,近畿地方の近隣諸県への普及も進んでいません.そこで,以下のような目的を持って,本人並びに近親者の出資によって設立した農業生産法人(2006年5月申請予定)です.

・ らくちんシステムによるイチゴ栽培技術の普及,指導並びにコンサルティング

・ 同システムの改良に関する新規研究成果の実用化

・ 同システムの他作物への適用

・ イチゴの栽培技術に関する研究実施場所の確保

・ 研究費の確保

 当社では,イチゴの販売を収益事業の中心と位置づけており,岡山市芳賀に約20aの農地を借用し,約15aのイチゴ栽培用ビニルハウスを建設しました.栽培システムは,もちろん‘らくちん’です.写真のようにピートバッグ(ミズゴケが腐熟してできたピートモスを80×30cmのポリ袋に詰めたもの)を1mほどの高さに持ち上げ,イチゴを8株ずつ植え,培養液を供給して栽培するシステムです.栽培する人間が‘らくちん’であるために,給液制御や温度・CO2などの環境制御はほとんど自動化しています.ただし,市販の‘らくちんコントローラー’ではなく,研究用に自作したプログラムを栽培用に改良してコンピュータによる複合環境制御を行っています.

イチゴ栽培システム

 05年9月には,なんとかイチゴ‘女峰’を定植して,12月には収穫が始まりました.ご存じの方も多いかと思いますが,‘女峰’は,‘とよのか’とともに2大品種と呼ばれて,1990年代には一世を風靡しました.しかし,‘とちおとめ’や‘さちのか’などの新品種に押され,一時期50%を超えた作付面積は2%にまで減少しています.全体としては市場での評価が低い上に,‘とちおとめ’や‘章姫’などの新しい品種と比較すると収量性が劣るため,栽培面積が急激に減少してしまいました.ケーキなど業務用としては日持ちが重視される場合が多く,完熟前(3~5分着色)に収穫された果実がたくさん流通していたため,食味の点で低い評価しか受けていないというのが実状です.

 しかし,‘女峰’の果実は適度な酸味があり,完熟させると糖度が急激に上昇します.また,他の品種と比較すると,完熟させても傷みにくいという特性を持っており,果実の中まで赤くて美しく,生クリームとの相性抜群の非常においしいイチゴになります.当社の‘女峰’は,06年1月から岡山,倉敷のfruitier(フリュティエ)各店でケーキ用などに利用されています.

 若者の「農業離れ」が続く中,「お金になる限られた品目」ではありますが,各地で若手の後継者や新規就農者が元気に農業を営んでおり,農業法人の経営者となる人も相当な数に上ります.土地もハウスもないところからスタートしてイチゴを栽培し,「生業」として生きて行けるような夢のある農業経営モデルの実践(といえるかどうかわかりませんが)を目指します.なんとか経営を安定させることができるようになったら,イチゴの規模拡大だけでなく,「トマトなど他の野菜の生産・販売」と「障害者雇用」という方向でも事業拡大を図りたいと「夢」見ている昨今です.

「どこがベンチャーか?」といわれるかも知れませんが,土地や資金面については「ゼロから始める新規就農モデル」として,十分ベンチャーの資格があると思っています.乞うご期待!