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モデル植物ミナトカモジグサのホルモン応答性解析用マーカー遺伝子を特定し、単子葉植物の病害防御機構の特徴を確認

単子葉植物の研究は、トウモロコシ、ムギ類、イネなどの作物を中心として行われてきましたが、技術的制約が多く研究に時間を要します。そこで背丈が低く実験室の蛍光灯下での生育が可能、世代時間が短い、形質転換が容易といった実験モデルに適した諸性質を備えた植物として、イネ科イチゴツナギ亜科の草本であるミナトカモジグサ(Brachypodium distachyon)が利用され始めています。このミナトカモジグサには作物重要病害の原因菌類が多数感染することも確認されており、感染生理や植物免疫研究のモデルとしての利用も大いに期待されます。植物はサリチル酸、ジャスモン酸、エチレンといった植物ホルモンを利用して、環境ストレスや病害感染に対して身を守るための防御応答を誘導します。従って、植物ホルモンに応答して発現誘導する遺伝子群(マーカー)を指標とすることで、植物体がどのような防御応答を誘導しているかを把握することができます。そこで今回、様々な植物での既知のマーカー遺伝子を参考に、ミナトカモジグサのマーカー遺伝子を探索しました。結果として、サリチル酸マーカー遺伝子2種、ジャスモン酸マーカー遺伝子7種、エチレンマーカー遺伝子2種が同定でき、作物病害研究の基盤が整いました。さらに、防御関連遺伝子であるPR1遺伝子ファミリー11種類のホルモン応答性を解析した結果、ミナトカモジグサはイネと似た遺伝子ファミリー構成を持ち、そのホルモン応答性も類似することが明らかになりました。これまで双子葉植物ではタバコやシロイヌナズナ、単子葉植物ではイネがモデルとしてよく研究されてきましたが、今回ミナトカモジグサの結果と比較することで、双子葉植物とは異なる単子葉植物独自の防御システムの存在が示唆されました。

Expression profiling of marker genes responsive to the defence-associated phytohormones salicylic acid, jasmonic acid and ethylene in Brachypodium distachyon
BMC Plant Biology (2016) 16:59
DOI: 10.1186/s12870-016-0749-9
Yusuke Kouzai, Mamiko Kimura, Yurie Yamanaka, Megumi Watanabe, Hidenori Matsui, Mikihiro Yamamoto,Yuki Ichinose, Kazuhiro Toyoda, Yoshihiko Onda, Keiichi Mochida and Yoshiteru Noutoshi

【連絡先】
能年義輝(准教授)
岡山大学大学院環境生命科学研究科(農学部)
Email:noutoshi(a) okayama-u.ac.jp
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