低次元量子スピン系
-Halden-
     
           
   

 酸化物においてはじめて発見されたHaldane物質R2BaNiO5(R=Y)は、これまで発見されたHaldane系と比較して元素置換が容易に行えるという特徴を持つ。これはHaldane鎖に対して様々な「摂動」を加えた状態の研究を行う上で非常に適している。これまでの研究では、R≠Yの系において低温で三次元の長距離反強磁性秩序が形成されることが知られていた。ところが横尾らによりTNより高温でHaldane gapが観測され、さらに興味深いことにTNより低温側においてもある温度領域でHaldane gapが存在することが明らかとなり、3D-1Dの共存状態があることが報告された。
  そこで我々は、量子的な状態から古典的な状態へどのように移り変わってゆくか、という問題に着目し、3Dを担うRを非磁性のYで希釈することで3D-1Dの共存状態から真のHaldane状態に移り変わっていくことが予想される(Y1-xRx)2について研究を行っている。