超伝導ってなに?
     
           
   

 ほとんどの金属は冷やすと電気抵抗が減少します。電気抵抗が生じるのは、電気伝導を担っている伝導電子が、格子振動(原子の熱振動)によって散乱されてしまうためです。低温になるにつれて電気抵抗が減少する理由は、温度降下に伴って伝導電子を散乱する格子振動が弱くなってくるためです。しかし、ある種の金属は、温度を冷やしていくとある温度(超伝導転移温度: Tc)において突然完全に抵抗を失ってしまいます。これが超伝導(superconductivity)と呼ばれる現象です。
 この現象は、
1911年にオランダ、ライデン大学のカマリン・オンネス(Kamerlingh Onnes)によって発見されました。[1]オンネスは、当時議論されていた電気抵抗の低温での振る舞い(絶対零度(-273)に近づくと電気抵抗はどのように振る舞うのか?)を実験的に検証するために、水銀(Hg)の電気抵抗を測定しました。その結果、4.2 K(-269)付近で突然電気抵抗がゼロになることを確認しました(Fig.1)。この驚くべき結果に、最初オンネスは実験のミスや回路のショートなどを疑いました。しかし、その後の追試の結果、この現象が本質的なものであるとし、“超伝導”と名づけました。現在では、約2000種にも及ぶ超伝導体(superconductor)が発見されています。

[1]  H. Kamerlingh Onnes, Akad. Van Wetenschappen 14, 113 818 (1911)