日本結晶学会賞西川賞受賞
     
           







   

 秋光教授が平成19年度日本結晶学会賞西川賞を受賞しました。以下に、日本結晶学会誌に記載された受賞理由を転載します。

 

「超伝導探索と新規構造に基づいた物質開発の研究」

 秋光会員は、物性科学の分野において、多くの業績を挙げているが、顕著なものは新しい超伝導体の発見であり、結晶学がこの分野においてきわめて重要な役割を担うことを示したものである。種々の銅酸化物超伝導体が報告される中で、秋光会員は一次元と二次元の中間的構造をもつ梯子格子型超伝導体を見出した。これは二酸化銅の面をもつ構造でなくとも超伝導体が存在することを示した唯一の例である。さらに、二硼化マグネシウムの発見がこの分野に大きい衝撃を与えた。超伝導転移温度が39 Kであると報告されたが、これは産業的に用いられている従来の金属系超伝導体に比べてほぼ2倍近い値である。試料作成が容易で実用化に際して重要な臨界電流、臨界磁場も高く、応用性に富む超伝導体である。この系の電子状態を議論するために、SPring-8において電荷密度解析を行い、その結果は世界的に高く評価されている。このように秋光会員は回折結晶学の研究方法を駆使して、構造に関する深い洞察から新規の超伝導体を開発したものであり、その業績は西川賞に値するものと考えられる。