二万大塚古墳発掘調査



 今年度も2月27日〜3月31日にわたって岡山県真備町二万大塚古墳の発掘調査を実施しました。二万大塚古墳は、6世紀中頃に築かれた墳長38mの前方後円墳で、後円部に横穴式石室を伴っています。

 この調査は、当研究室が実施している「『雄略朝』期における吉備地域の考古学的研究」プロジェクトの一環であり、天狗山古墳の発掘調査に続くものとなります。雄略朝期の変革がもたらした影響を、半世紀ほどのタイムスパンの中で評価していこうと考えています。

 一昨年度に実施しました第1次調査で、南に開口する比較的古い形式の横穴式石室と、家形埴輪や須恵器などを用いた造り出しなどを確認することができました。また、昨年度に実施しました第二次調査で、横穴式石室では馬具や須恵器などの多くの副葬品、さらに造り出しでは埴輪列を確認することが出来ました。また、この他の成果としては後円部端を明らかにすることが出来ました。

 本年度の調査では、石室で床面と思われる地山をほぼ全面で確認、副葬品としては馬具や武具、須恵器の他、特に玉類が多数出土しています。ベルト部分の掘り下げ、実測については行うことが出来なかったので、来年度の調査で行いたいと思います。また、造り出しの東西では、昨年出土の埴輪列の延長と考えられる埴輪を数基検出し、北くびれ部の南からも残存状態の良い円筒埴輪が出土しています。その他の成果として、前方部端を明らかにすることが出来ました。
なお、勝負砂古墳については、発掘前のレーダー探査で横穴式石室などの石を用いた埋葬施設が存在しないことが確認されましたが、その性格については不明確な点がたくさんあります。

<二万大塚への行き方>

車でお越しの方:
国道486号線を西へ、川辺橋をわたって直進し、「二万口」の交差点(県道281号)で左折し、「守屋自動車」前を左折

徒歩でお越しの方:
井原鉄道「吉備真備駅」を下車、東へ歩き、県道281号を右折、徒歩20分強



第1回 2月27〜3月4日までの調査概要 (2001 3/5UP)

第2回 3月5日〜3月14日までの調査概要 (2001 3/17UP)

二万大塚古墳第一次調査概要報告 (2001 9/26UP)

二万大塚古墳第二次調査概要報告 (2002 10/21UP) 

二万大塚古墳第三次調査概要報告  (2003 10/2UP)


〜二万大塚古墳第三次発掘調査概要報告について〜

二万大塚古墳第三次調査概要報告書(HTML版)が完成しましたのでご覧下さい。
尚、資料は整理中につき、不明確な部分がありますので引用はお控え下さい。
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