はじめに述べたように、定地区の古墳群の調査を開始して、今年で6年になる。最初に調査した定北古墳に関しては、すでに発掘調査報告書を刊行し、出土遺物もすべて北房町に返却した。
定東塚・西塚古墳の調査は、現在のところ第5次まで継続の予定であり、今回の調査でほぼ山を越えたことになる。東塚石室は今年度で完全に調査を終了し、西塚石室は次回で床面の完掘と陶棺の搬出を予定している。陶棺は西塚から6基分確認され、東塚や定北古墳と合わせた、合計14基について、これから詳細な検討が進むであろう。定東塚→定西塚→定北という築造順序はすでに明らかであるが、追葬の順序も含めた三者の関係の解明が今後の課題となる。
定東塚・西塚古墳の墳丘の形態については、2基の方墳が連接するものであるということがすでに明らかになっている。東塚については、複雑な修築の過程が観察されているが、そのプロセスはまだ完全にはわかっていない。また、東塚前庭部の列石と墳丘の列石のつながり方や西塚前庭部の列石との関係もはっきりしていない。今後の調査で、そうした点の解明が課題となる。