岡山大学考古学研究室

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定東塚・西塚古墳第3次調査概要報告

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1.はじめに

 岡山大学考古学研究室(代表=稲田孝司)では、6年間にわたって、終末型古墳の系列的理解を目的に、定プロジェクトを実施している。岡山県上房郡北房町上中津井には、定東塚・西塚古墳、定北古墳、大谷1号墳をはじめ、段構造をもつ方墳が少なくとも6基存在している。

 1990年10月から1993年3月までは、今回発掘した定東塚・西塚古墳のすぐ北に位置する、定北古墳の調査を行った。定北古墳は、全国的にも例の少ない整った方墳で、切石の横穴式石室には4基の陶棺と1基の木棺が納められていた。

 続いて1994年3月から、定東塚・西塚古墳の調査を実施している。定東塚・西塚古墳は、方墳が連接したもので、定北古墳にやや先行すると推定される。定東塚古墳の石室内からは、4基分の陶棺片と、金製環、金糸や装飾付馬具をはじめとする、豊かな副葬品が出土した。

 今回は、定西塚古墳の横穴式石室と前庭部の発掘を中心に、定東塚古墳の石室の実測や前庭部および墳丘構造の確認を行った。調査の主要な成果は、定西塚古墳の石室の陶棺が6基となり、方頭大刀に伴うと推定される青銅製鞘尻をはじめ多数の遺物が出土したことと、前庭部の構造が明らかになりつつあることなどである。西塚古墳の石室の調査は未完であり、来年度も引き続き副葬品の出土が予想される。

 また、同じような古墳と推定される、近辺所在の大塚古墳の実測調査を実施したほか、周辺古墳の分布調査も継続中である。

 現地の調査は新納泉が担当した。調査に際しては、土地所有者の田井隆氏のほか、平方吉太郎氏をはじめとする定地区の方々にお世話になった。また、大塚古墳の測量にあたっては、大塚重夫氏にお世話になった。宿舎の確保などでは、北房町教育委員会の協力を得ている。

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