勝負砂古墳第4次調査・二万大塚古墳第4次発掘調査 概要報告

目次へ

前ページ(V二万大塚古墳5二万大塚古墳の調査成果)へ


結語

 今回の勝負砂古墳と二万大塚古墳の調査では、真備地域における「雄略朝」期とそれ以後の吉備地域の動向を解明するための多大な成果が得られた。それらについては、両古墳の調査成果におのおの記したとおりである。とくに、二万大塚古墳の調査の完了により、真備地域における最初の首長級の墳墓と考えられる天狗山古墳と最後と目される二万大塚古墳の性格がほぼ解明され、首長系譜の始まりと終わりの状況が明らかになった意義は大きい。

 この首長系譜のどこに勝負砂古墳が位置づけられるかという問題は、今後の目標である。きわめて深い場所に埋葬施設があること、墳丘周辺の改変が著しいことなどから、次年度以降の調査では、さまざまな意味で大きな困難や工夫の必要性が予測される。天狗山古墳や二万大塚古墳の成果や経験を生かしながら、その集大成として勝負砂古墳の発掘を成功させることが、「『雄略朝』プロジェクト」の、おそらく最後にして最大の課題となるであろう。学術的情報の有効な取得と、古墳や周辺環境の保全とを最良の形で両立させることを目標としつつ、周到な計画と準備を重ねることが望まれよう。