勝負砂古墳第4次調査・二万大塚古墳第4次発掘調査 概要報告

目次へ

前ページ(4出土遺物5.その他)へ



5 二万大塚古墳の調査成果

 199911月に測量調査を開始し、2001年春に第1次調査に着手した二万大塚古墳の発掘調査は、今回の第4次をもってすべての作業を完了した。

 第3次までの調査で、前方部を西に向け、北側に造り出しをもつ、墳長約38mの前方後円墳で、後円部に南南西に開口する両袖式の横穴式石室をもつことが明らかになっていた。墳丘北側の造り出しと段築のテラス上に並べられた埴輪列と、造り出し上の形象埴輪や須恵器を用いた祭祀の痕跡などの注目すべき成果が得られた。

 今回の、横穴式石室を対象とする第4次調査で、床面の完全な検出と、石室の実測および一部床面の断ち割りによって、副葬品の全貌と、石室の構築技法が明らかになった。副葬品の構成は、昨年度までの調査で出土したものと大きく異なるところはないが、馬鈴が合計11点、玉類は1300点近くにおよぶなど、豊かな副葬品の実態を明らかにすることができた。床面に掘られた排水溝の全貌が明らかになったことも、岡山県内では類例が少ないだけに興味深い成果である。

 石室は、玄室の西壁を中心に変形が著しく、支柱をわたしながら調査を行ったが、調査後もその状態のままとなっている。玄室奥の天井石が失われている部分については、真備町教育委員会と協議の上、将来の整備に備え、鉄骨や金属パネルなどを用いて応急的に閉鎖している。




次ページ(W結語)へ