勝負砂古墳第4次調査・二万大塚古墳第4次発掘調査 概要報告

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2 石室構造

本古墳の石室は、主軸がN-27°-Eの南南西に開口する横穴式石室である。玄室は両袖式で、平面長方形を呈する。石室は現状で全長9.10m、そのうち玄室の長さは4.69m、幅は奥壁で2.48m、中央で2.33m、前壁で2.24mである。また羨道は、長さ4.41m、幅は玄門で0.88m、開口部で0.83mである。天井石は石室内に落ち込んでいたものを含め、奥壁最上段を除くと8枚確認される。床面から天井石までの高さは、玄室中央で2.25m、羨道入口で1.47mを測る。

本石室の壁面は持ち送り構造である。奥壁の石積みには、最上段にその大きさと高さから天井石として用いられたと考えられる石を使用しており、その下に4段の石積みが確認される。

側壁については、玄室では下部において横長で比較的大きな石が積まれ、上部にいくほど小さな石が多くなる。東壁・西壁ともに6段の石積みが確認でき、奥壁を基本に目地が通っているが、玄門部に近づくほど曖昧になる。西壁は土圧により一部がせり出している。羨道部では、西壁において4段の石積みが確認され、多くの石が5070cmのものである。西壁が整然と積まれているのに対して、東壁では下部に40cm程度の石を使用し、上部では比較的小さな石が粗雑に積まれている。東壁・西壁ともに土圧によって一部がせり出している。羨道部における閉塞施設については確認されなかった。

玄室内では主として地山を床面としているが、部分的に薄く土が盛られている箇所が見られた。羨道入口付近では、側壁の石積み1段目の高さをそろえ、床面を整形するために、地山の上に土が盛られていた。羨道入口から玄門部にかけて、素掘りの排水溝が検出されている。羨道では、側壁下の土層の観察から、玄室側から順に最下段の石を置いたと考えられる。また、奥壁沿いなど一部で地山が掘りくぼめられており、明確ではないが掘り形の可能性がある。



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