勝負砂古墳第5次調査 概要報告

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T 調査の経過

 調査は2月22日から3月23日までの期間、岡山大学考古学研究室が主体となって行った。今年度の調査は、主体部の構造・規模、墳丘構築方法、墳丘形態の把握を目的とし、墳頂部、前方部、後円部北側墳裾に調査区を設定した。
 墳頂部トレンチは昨年度からの継続調査であり、昨年度検出された主体部の実態把握を目指して掘り下げを行った。その過程において、赤色の盛土を用いたドーム状の中途成形面を検出し、墳丘の計画的な構築方法に関する情報を得ている。主体部に関しては目標としていた範囲全面での検出には至らず、一部で構造・方位に関する新たな情報を得たのみに留まっている。
 前方部Cトレンチは昨年度の前方部A・Bトレンチの間に設定し、墳丘形態の把握を試みた。掘り下げの結果、後世の改変が著しいことが判明した。そのため、古墳築造当時の状況が復元困難であり、前方部であるという確実な証拠は得られなかった。
 後円部北トレンチでは掘り下げの結果、2次調査第3トレンチと同様に、勝負砂古墳に伴うと考えられる周溝を検出した。その後、調査区を北側へさらに延ばし、周溝の規模を確認した。また、周溝は現在前方部と考えられている方向へ巡る様子が確認されており、墳形確認の手がかりとなる情報を得ている。
 調査終了後、各トレンチとも埋め戻しを行った。墳頂部トレンチは遺構保護と来年度の調査を見越して、排水対策を行っている。
 今年度は、3月12日に現地説明会を行った。また、昨年度同様インターネットを通じて調査の経過およびその成果を随時紹介し、資料の公開をしている。          (石坂)


第5次調査参加者一覧(学年と所属は調査当時)
1年    大當雅美 太田久美子 大智恵理子 川島誠次 中原香織 野上香織里 箱田一紗 藤原摩耶
2年    秋山奈美 大石恵子  水島庸一郎  村瀬奈穂  森井敦子  山梨千晶  
3年    片山健太郎 笹栗拓 畑地ひとみ 森仁優 山田淳也
4年    石坂泰士 野嶌美沙子 山口雄治(東海大学文学部)
院生   中野萌 渕ノ上隆介 藤森秀一 三浦孝章                      




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